第61話 剣闘祭 賭博勝負 vsアラン①

「何という快挙でしょうかー!!!今大会初試合にして、初の5人抜きだーーー!!!」




「いやー初戦から素晴らしい物を見れましたねー」




イザベルは司会の言葉を耳にして嬉しそうな表情を浮かべながら、3人と選手用の観客席に移動していた。


対する俺は賭場へ行って当選金をもらっていた。




「この調子で次の試合に行きましょう!!さぁ、次の試合はカサンドラ校vsモンテ校だーーー!!!」




さて、この試合で勝った方と2回戦で戦うことになるわけだが…


それよりも賭けの時間だ!!




『将来のことも考えて、金は大いに越したことはないからな!!”鑑定”を駆使すればこっちのもの…』




「おーい小僧!!奇遇だな!!」




「アランも賭けか?」




「おう!!さっきの試合はイザベルの5人抜きに賭けりゃーよかった…」




「ふふふ…残念だったなアラン。」




俺は今受け取った金の入った袋を、アピールするようにしてアランに見せつけた。


大金(222,000円)の重みを感じる。




「なっ…もしかしてその金は…?」




「ああ!!イザベルの5人抜きに、MAXBETの金貨1枚賭けておいたんだよ!!」




「くっそぉぉー!!!!まさか賭博歴12年の俺が小僧に負けるなんて…!!」




「まだまだだな!!」




「ちっ…なら次の試合で勝負だ!!」




「乗った!!」




俺は早速控室にいる10人全員を”探知”で把握し、”鑑定”を行使した。


覗き見しているようで少し興奮するような気が引けるような感じだ。




『平均Lvとステータス値はカサンドラ校の方が高く、スキルLvは同じくらいか。順番は…っ!!なるほどそう来るか…』




カサンドラ校は戦闘能力が高い順に1番手から決めているのに対し、モンテ校は逆で決めていた。


そしてカサンドラ校1番手のマクレイ>モンテ校の5番手のシェイフ、シェイフ=カサンドラ校の2番手くらいの実力だ。


ちなみにマクレイ=クレア、シェイフ=アイリスくらいの実力だ。




つまり…カサンドラ校の1番手がモンテ校の5番手に負けたら勝敗が分からない。


俺の予想では、マクレイは疲労が蓄積してにシェイフに負けるだろう。




『ということは…これに決めた。』




「…小僧、準備はいいか?」




「ああ。」




「じゃあ同時に行くぞ。」




購入受付の窓口は十何個もあるので、お互いに離れた窓口へ移動した。


俺の窓口にはスキンヘッドのおじさんが座っていた。




「らっしゃい!!坊主は何にいくら賭ける?」




「俺は…」




「…坊主、本気かい?」




「ああ。外してやるつもりはない!!」




「そうかい!!坊主は将来良い賭博師になりそうだな!!」




チケットを受け取り、アランと合流した。




「アランは何にいくら賭けた?」




「モンテ校の勝利に金貨1枚だ。…小僧は?」




「カサンドラ校1番手マクレイの4人抜きとモンテ校5番手シェイフの5人抜きにそれぞれ金貨1枚だ。」




前者のオッズは5.6倍、後者のオッズは6.2倍…両方当たれば白金貨1枚と金貨1枚、大銀貨8枚(1,180,000円)の当選だ。


片方外れてもプラスだし、両方外れてもさっきの当選金がなくなるだけなので痛くはない。




「なっ…!!小僧正気か⁉」




「ああ!!あいつらはなかなか強い!」




「そうか…?俺はそう感じなかったが…後悔するなよ?」




「えっ…⁉」




「それではこれより第2試合1戦目を始めます!!両者武器を構えて…試合開始!!」




俺はハラハラしながら試合を観戦した。


カサンドラ校の1番手がモンテ校の5番手以外に負ければ、即金貨2枚(200,000円)の損なのだ。




数分後




「試合終了ーー!!勝者、カサンドラ校マクレイ選手!!」




「よっしゃぁー!!!この調子だ!!」




「まだ4人いるから…」




十数分後




「試合終了ーー!!勝者、カサンドラ校マクレイ選手!!」




「ナイスーー!!あと2人!!」




「まだ…3人いるから…」




数十分後




「試合終了ーー!!勝者、カサンドラ校マクレイ選手!!」




「よっしゃぁーー!!次ラスト!!」




「あと…2人しか…」




アランがどんどん自信なさげになっていく。


対する俺は、どんどん自信満々になっていく。




「いやー素晴らしい3人抜きですね!!しかし、そろそろ疲れてきているようです。」




『…いや、確かに息は上がってけど被弾は少ないからHPもまだまだあるし、ソードスキルも少ししか使ってないからTPも余ってるし…行ける!!』




「それでは4戦目を始めます!!両者武器を構えて…試合開始!!」




開始と同時にマクレイが仕掛けた。


早期決着を狙っているようだ。




マクレイの得物は片手剣と盾…今まで攻撃と防御の両立が素晴らしかったが、1戦ごとに時間をかけすぎていたのだ。




「おーっとー!!マクレイ選手の猛攻が続くーーー!!!」




「相手選手はだんだん体勢が崩れてきていますね。」




『…そこだ!!右下段から斬り上げて相手の武器を弾け!!』




俺の心の声が届いたのか、思った通りの行動をとって相手の武器を弾き、すぐさま片手剣Lv.1”チョッパー”で仕留めた。




「試合終了ーーー!!マクレイ選手、4人抜きだーーー!!!」




「よっしゃぁーー!!!よくやったマクレイ!!!」

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