第39話 魔物征伐 間引き

「3…2…1…今!!」




「”エンドレスホーミングアロー”!!!」




カウントダウンと同時に、何十匹もの蝙蝠型とカラス型の魔物が階段から飛び出してきた。


それと同時に、クラウドが上空へ矢を放った。




飛行型の魔物は俺達の姿を見つけるや否や、一直線にこちらへ向かってくる。


…クラウドの放った矢に気付かずに。




数秒後




上空から無数の矢が降り注ぎ、全ての矢が的確に魔物の身体を貫いていく。


そして、俺達の目の前で全ての飛行型の魔物が地に落ちた。




「…上手くいったか。」




「その様であるな!!」




階段へ”魔物探知”を行使すると、物量作戦で無理矢理突破しようとしていた。


油が付着して転んだ魔物を足場にして少しづつ進んでいるが、未だに中腹辺りだ。




「…っ!!次、飛行型の魔物が来る!3…2…1…今!!」




「”エンドレスホーミングアロー”!!」




再び成功し、全匹俺達の前で絶命した。


これを繰り返すこと2回。




「飛行型の魔物が来なくなったな…」




地上型の魔物は相変わらず物量作戦で進み、2階層まであと6mの辺りまで来ていた。




「よし、仕上げだ!俺の合図で階段の油に火矢を放ってくれ。」




「了解である!!」




「5…4…3…2…1…今!!」




「はっ!!」




火矢は油が溜まった溝へまっすぐ飛び、すぐさま引火した。




『ウォォォォォォォォォ!!!!!』




階段から多くの呻き声が上がった。


そして、”魔物探知”から次々反応が消滅していった。




「成功だ!!クラウド、1階層に向かうぞ!!」




「了解である!!」




階段に火薬をばら撒きながら1階層に上り、アランパーティと合流した。




「小僧、どうだった…?」




「無事成功だ!!」




「そうか…!!よくやった!!」




クラウドの弓Lv.9”エンドレスホーミングアロー”が予想以上に刺さったおかげで予定の1.5倍、300体ほどを仕留めることに成功した。


次の階層間も上手く事が運べば、総数の半分は減らせるかもしれない。




「小僧、次の作戦だが…現状を説明してもらっていいか?」




「分かった。魔物は今、2階層にばら撒いた障害物のおかげで孤立している個体が多い。このままいくと、ばらばらになった状態のまま階段を上ってくるだろう。」




「キミ、それだと火薬が効果を発揮しなくなるんじゃ…?」




「いや、そうでもない。ばらばらに上ってきた魔物を階段から落とすことで火薬が全体に散らばり、効果が増すはずだ。」




「なるほど…小僧、上ってくる魔物の種類は分かるか?」




「今見てみる。」




魔物が分散している今なら、より広く”探知”できるはずだ。


負荷が強まっても強制停止するだけだと分かったので、”魔物探知”と”悪魔族探知”を広範囲で行使した。




「魔物は…DランクのノーブルオークとEランクのハイゴブリンだ。」




「ハイゴブリンか…あいつらは種類と数が多いから厄介なんだよな…」




ハイゴブリンはゴブリンファイターやゴブリンアーチャーなど、まるで冒険者パーティのような構成で行動しているのだ。


その上12体1パーティで行動しており、5パーティが集まって1つの集落で暮らしているのだ。




「じゃあ…俺と小僧が階段前で落とす係をやろう。ゴブリンアーチャーの弓には気を付けろよ。」




「ああ。」




「ルイザは俺等が討ちもらした魔物を頼む。」




「りょーかい!」




「クラウドは後ろで休んでいろ。サロメは後衛で待機し、最後に火矢を放ってもらう。」




「了解である。」




「了解しました。」




早くて的確な指示…流石アランだ。


俺の疲労度が考えられていないような気もするが…まあいいか。




「アラン、そろそろ見えてくるぞ。ハイゴブリンが手前、ノーブルオークが後ろだ。」




「了解!」




『ギエエエエエエエエエ!!!!!』




俺達が視界に入るや否や、ハイゴブリン達は一直線にこちらへ向かってきた。


あと10m…7m…3m…今だ!!




「”ドライクロー”!!」




「”スラッシュ”!!」




アランが両手剣Lv.2”ドライクロー”の3連撃で3匹を仕留め、俺が両手剣Lv.1”スラッシュ”をシステムアシスト軌道から変え、横に振ることで2匹を仕留めた。




「…何回見ても小僧のその攻撃は凄いな。」




「アランも練習すればできるんじゃないか?」




「いや…実はやってみたけどできなかったんだよな!」




「意外だな…」




「慣れた攻撃の軌道を変えるのは難しいからな!」




「なるほど…」




そんな他愛ない話をしながら次々魔物を倒していった。


階段が狭くて魔物が攻撃を避けられないため、ただの作業なのだ。


その後ノーブルオークも襲来したが、身体が大きくなっただけでハイゴブリンと特に変わらなかった。




数十分後




「そろそろ溜まってきたな…!」




俺達が倒した火薬付きの魔物が良い感じに広がり、その上を奥の魔物達が踏んで進み始めた。




「アラン、後ろに下がるぞ。」




「ああ!」




「サロメ、頼んだ!」




「はい。」




サロメが火矢を放った次の瞬間


轟音と共に大爆発が起こり、階段から70mほど離れたというのにここまで魔物の肉片が飛んできた。




「上手くいったな…!!」




2人で狩りまくったこともあり、”魔物探知”から合計400体ほどの反応が消滅した。


順調な滑り出しだ。

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