有馬奇譚 著:静沢清司
一人の少年がただ藻掻く物語──。そして、願いの物語である。
ここから感想。
マイナスなことも言ってほしい、ということなので気になった点も言及していく。
と、その前にいつもの前座を。
意外と、マイナスな感想を言ってほしいとお願いされることは少ない。
私としては、マイナスなことはいつでも言ってほしい人間なのだが皆はそうではないらしい(自主企画の文章をちゃんと読んでいないという説もある)。
しかし、私としてはマイナスなことを全く言わないというのは地味にストレスであったりはする。
例えば、文字が詰まりすぎていて非常に読み辛い。と思ったような作品や、最初からキャラが死ぬほど出てきて混乱した。と思ったような作品でも、それを減給することはない。
別の良いところを見つけて褒める。ということをしているわけだ。
まあ、悪く言えばこれは接待のようなものである。
いや、流石に言い方が悪いか。
そもそもその作品と私の相性がいつでも最高とは限らない。あまり好きなジャンルじゃないな、と思うことだって多々あるわけだ。
それを表に出すと角が立つのは分かり切っている。だからこそ、こういったマイナスなことを言ってもいいよ。と言ってくださる方は貴重。
と、愚痴はここまでにして感想に入ろう。
とりあえず良かったところを書いていこう。
まず、感想コメントでも言及した通り、
まず気になったのは二話冒頭。
『 朝。午前七時半ほど。本来ならば、このベッドでうたたねしている少年が学生として学校に通うころだ。しかし、昨夜に少年は今日の午前二時ぐらいまで眠っていなかった。そのせいで、このいつもの起床時間、だいたい午前六時に起きることはなくなった。』
初手にある通り、今の時間は七時。これは間違いがないはずである。
けれどそのすぐあと『このいつもの起床時間、だいたい午前六時』
このいつもの起床時間。
この、と言われると今現在を指されているような気分になる。
よって、「今六時なの? 七時なの?」と若干困惑した。
また、これとは違い日本語的に違和感を覚える文章が少し散見された。(私が日本語弱者なだけかもしれない)
いちいちすべてを上げるのはやめるが、下に一つだけ例を置いておく。
『そんな名家が主人を奉仕する給仕、俗物に感じるが、いわゆるメイドという者がいても、なんら不思議はないだろう』
そんな名家『に』だとか、そんな名家がメイドを『雇っていても』などの変更が望ましいかな、と感じた。
名家が『主人を奉仕する給仕、俗物に感じるが、いわゆるメイドという者が』いる
もしくは
名家が『主人を奉仕する給仕、俗物に感じるが、いわゆるメイドという者がいても』、『なんら不思議は』ない。
などと解釈しても、名家『が』に対応する『動詞』が存在しないのがお分かりになるだろうか?
そこに違和感があった。私の解釈が間違っているのなら申し訳ない。
と、こういった感じなのが散見されたので一度読み直しをして文章に違和感がないのか確認してみることを推奨する。
さて、文章についてはここまでにして内容に入ろう。
第一話の引きは良い。
ある程度の謎を残しながら、それでも作品の全容が全く分からないわけでもない。
こういうことが中心になるよ。主人公はこんな感じだよ。みたいなのが漠然と伝わってきた。
/2 午前九時五分 有馬邸にて
〝藍沢雅臣〟
そして、本作にて場面転換に用いられているこの手法。
これも素晴らしい。web小説ではほとんど見ることはないが、これがあることによって読者がどういう状況なのか見失わないようになっている。
一話一話のストーリー展開も良い。
掛け合いがきちんと成り立っているし、特に違和感もなかった。また、地の文の自然さも合わさり、一人称視点の作品としては非常に読みやすくなっている。
特に、『藍沢雅臣』が視点の話が良い。
視点主のキャラが立っているからかどうかは分からないが、非常に読みやすかった。
と、ここまでが良い点。
内容に関して、一つだけ気になったことがあったのでそれだけ指摘しておく。
視点が行ったり来たりするのは作品の描き方の手法として存在するのは間違いないが、その頻度が高いように思えた。
それによって、作品の内容を把握するのが少し難しくなっている。
ここは直してもいいかな、と個人的に思った。
が、あくまで私が思った程度の問題だ。気にしなくても問題はない。
こんなものだろうか。
それでは。
作品URL:https://kakuyomu.jp/works/16816700429376395873
作者URL:https://kakuyomu.jp/users/horikiri2
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