不幸を背負って、親父は笑顔で逝った 著:@ichikaYU_98 第一章まで

 「幸せを切り売りする力」を得た、不器用でお人好しな親父の人生の話。




 ここから感想。


 とりあえず第一章で一段落がついたっぽいのでそこまでの感想を。


 web小説では珍しい非常に暗い雰囲気の作品。

 良い人であったが死んだ状態から始まるため、読み進めていっても、彼らに救いが見えない。

 

 他の作品と比べるのは失礼にあたるのは百も承知だが、こういった絶望感は今話題の『タコピーの原罪』という作品を空目してしまった。

 @ichikaYU_98様が他の作品と比べられることにどこまで嫌悪感を示すのかは分からないが、私が比べるときは基本的に褒める時である。

 ご理解いただければ幸いだ。


 更新されればトレンドに乗る。それくらいの話題作を空目するくらい作品の雰囲気作りがうまい。

 そう、こんなことが言いたい、というわけだ。

 

 本作は先ほどからずっと書いているように救いの要素が少ない。

 ずっと世界に尽くしていた父を、理解してあげられない親族がいたり、理解したとしてもそもそも手遅れであったり。

 そもそも日記を読んで真実を知ったところで、作中の人物に出来ることはない。

 救いを作る、というのが無茶な話だ。

 

 しかし、だからといって作品として問題があるかと言われればそうではない。

 しっかりと一章でまとまっていて、読了感もよかった。

 基本的に使いづらい、時代のすっ飛ばしも最終話のみで用いることで、作品の齟齬を起こさない。


 ただ、少し前に話題になった『作中に出てくるいじめっ子がその後、制裁を受けないと作品に集中出来ない』という感想を抱く人もいるだろうなぁ、とは思いました。


 この感情は『いじめっ子』が作中に深くかかわってくるかどうか、は全く関係ないそうです。ただ単純に、悪さをした人間が、その報いを受けていないとスッキリ出来ない、と。

 ただ、これを解決することはこの作品の作風的に無理。

 いじめっ子側に描写を割くと、途端にテンポが悪くなる。

 だから、この作品はこれで完璧なのだ。

 純粋に、すべての読者を満足させることのできる作品は出来ない、というだけで。

 

 全体的に完成度は高かったように思える。


 二章はまたの機会に読ませていただくとしよう。

 それでは。


 作品URL:https://kakuyomu.jp/works/16816452221404518334

 作者URL:https://kakuyomu.jp/users/ichikaYU_98

 

 

 

 

 

 

 

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