グローリー・リーグ -宇宙サッカー奮闘記- 著:山中カエル
SF×サッカー×ファンタジー サッカーで宇宙を救え!
ここから感想。
キャッチコピーを見ればわかると思うが詰め込み型の作品である。
一見無茶苦茶だ。意味が分からない。
超次元サッカーといえば伝説的ゲームがあるが、内容はそれとはまったくもって違う。
サッカーの内容はほぼ現実準拠だ。
特に何か能力が出てくるわけでも、反対に宇宙人側が意味の分からない能力を使う、なんてこともない。
最初は随分と拍子抜けだな、と思ったが普通に考えれば当たり前のことだ。
宇宙人なら能力が使えるはずだ、なんていうのは根拠のない妄想すぎる。「こちらの世界に来ているのだから科学力が高いに違いない」という理論には説得力があっても、「宇宙人は能力が使える」というのは意味が分からない。
もちろん作品が進んでいけばそういったキャラも出てくるのかもしれないが、とりあえず一章は一般人同士のサッカーがメインであった。
それによって、本来こういうスポーツなどでフォーカスを当てられがちの機敏な動きにはほとんど言及がない。
反対に選手陣の心理は深く描写されている。
これは小説の良さを生かした物語構成だな、と感心させられた。
動きというのを文字で表現するのは難しい。もちろん描写できないわけではないが、描写したところでその映像を頭にしっかりと浮かばせる読者は多くないだろう。
だからこそ、より深く描写できる心理へとシフトさせる。
うまいやり方だ。
また、テンポも良い。
サッカーをする、ということは少なくとも自チームに十一人。もしくはコーチを入れて十二人のキャラクターを登場させる必要があるのだが、これをすべて描写しきってから、作品を動かす、というのは得策ではない。
その点、この作品は有無を言わさず競技をはじめ、その後キャラの解説に入るといった手法を取ることでこの問題を解決している。
非常に上手い。
総合して節々に筆力を感じられる作品であった。
こんなものだろうか。
それでは。
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