宝界のドラグリッド 著:薪原カナユキ
輝かしい宝石よ。正しき道とは――
ここから感想。
十二の種族が存在し、そのそれぞれに宝石名が割り振られている世界。
世界観設定は一気に出てくるタイプではなく、その都度ちょくちょく出てくるタイプ。なので、十二の種族はすべて出てきていないし、固有の特徴もこの時点ではわからない。
複数の種族が存在し、そのそれぞれに特殊なルビが振ってある。さらには人間が最弱、とまで来るとノーゲーム・ノーライフを彷彿とさせる世界観だが、話の内容は全く違う。
この作品はそれこそ重厚という言葉が似合うタイプのファンタジー。
平気で人が死ぬし、主人公も殺す。躊躇はあるがそこに慈悲はない。
最近webで流行りの楽しい雰囲気が好きな方には向いていない作品かもしれないが、作品としての出来は良かった。
第一章の主人公が覚醒するまでを描いている展開も、王道からかけ離れず、読者の理解を置いていかない。
文章のテンポや戦闘描写なども、きちんと書いている人のもので、話がだれていくこともなかった。
また、こういう戦闘系には必須の技名が存在するのもよい。
いきなり、スキルが使えるようになって技名なんて分かるはずないだろ、という斜に構えた考え方も理解できるのだが、技名があるだけで情景の理解が深まるため、あるに越したことはない。
また、造語に分かりやすいルビが振ってあるのもよかった。
あれのおかげで随分と読みやすいうえに、作品に没入することができる。
戦闘系の作品を書く際は参考にしたい。
ああ、あと気になったのが五話に出てくる表現で、
『沸き上がる
異能にルビが振ってあるのにもかかわらず、齎す、にルビが振ってないのは不親切のような。流石に難読漢字のような気がする。
もちろん、書く人にとっては使いたい表現の一つ。私は難なく読めたのだが、一般の人は読めないはず(個人的な感想)
通常のシーンならばそこまで気にならない難読漢字ですが、盛り上がっているシーンだと、そうはいかない。盛り上がっているシーンでは、不思議な描写や誤字があると、現実に引き戻されてしまう、といった感想を聞いたことがある。
これはおそらく難読漢字も例外ではない。
せっかくだからルビを振ってみては、なんて思うが個人の感想なので無視してもらって構わない。どこまでが難読漢字なのか、という基準も難しいし。
その直後に出てくる『陽炎』も普通は読めなくね? という話にもなってくる。
なので、お好きに。
ただ、そういう話もあるよ、という程度の認識でとどめておいていただけると幸いだ。
こんなものだろうか
それでは。
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