緊急未来家族会議

 アスモデウスに励ましをいただいた直也は、早速緊急謝罪釈明会見を土下座スタイルで行った。

 

 真っ青な顔で全身が震えて、今にも気絶してしまいそうな直也の様子を重く見た女性陣は、生命の樹を祀る大社の本殿に緊急未来家族会議場を設置した。


  裁判官どころか弁護人すらいない場での高杉氏の切実なお願いは、女性当事者6名全員に厳しく吟味されることとなった。


 


高杉氏の訴え:


 大変申し訳ないが、まずはお互いを良く知る為に友だ、いえ恋人からのお付き合いを、お願いしたい。また自分は無職の身であるため、まずは自身の証を立て住居を手に入れることに加えて、過去を乗り越えることが出来るまでの間は清い男女交際をお願いしたい。


 


 女性側からの主張


 ・まずは婚約者としての待遇を要求する


・同居は絶対の条件


・清い交際は却下


・新居の土地や家屋の購入建築費用は皆で協 

 力する


・高杉氏の町の運営に参加


・食品や生活必需品購入に同行


・一人での外出は怖い。同行をお願いする


・寝室は皆で共有


・ご飯は最低皆の三倍


・一緒に魔獣狩り


・その他


  3日間にも及ぶ数々の白熱した議論、意見交換が行われた緊急未来家族会議は、以下の条件付きで高杉氏に結婚までの猶予期間が与えられた。


 一つ、結婚を前提とした甘い恋人兼婚約者と

   しての同棲生活をすること。デートや

   狩りは要相談。


 二つ、冒険者をして収入を得て一年以内に新

   居(あいのす)、家族全員の衣食住を賄え

   るだけの収入を高杉氏が得ること。


 三つ、婚約期間は今日より一年とし、期間満

   了と同時に希望者全員を娶ること。ま

   た一切期間の延長は認めない。


 

 この決定を受けて、直也達は早速全員で冒険者ギルドへ登録するために向かう。応急処置された冒険者ギルドの建物に入ると受付席には何故かジョニーが座っていた。


 「あら、いらっしゃい。振った相手の所に今度は一体何をしに来たのかしら?」


 「今度こそ冒険者登録をするために来ました」


 「そうなの、じゃあ全員これ書いて」


  少し気だるそうに話をするジョニーは全員に登録申請の書類を配る。


  書類を受け取った直也、サクヤ、マリー、リーシェ、アス、レーヴァテイン、イズナはサラサラと迷うこと無く必要事項を記入しジョニーに提出する。


 「確かに受理したわ。いまからランク・タグを作るから明日また来て頂戴。当然貴方達でパーティーを組むのだろうから、パーティー名も考えてきてね」


  三度めの正直。今回は何事もなく無事に登録することが出来た。これでもう、無職のヒモ男と呼ばれることもない。直也は晴れ晴れとした気持ちで帰路についた。


 

 直也達がギルドを出た直後、冒険者ギルドでは直也達のランクについて有識者を交えた白熱した議論が当事者不在のまま行われたのだった。 


 


 


 


 


 


 


 


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る