第19話 いつもの日常へ戻る?
いきなりのプロポーズに面食らいながら文野は通常の生活に戻った
お土産は昨日自宅宛に届いたので会社へ持って行く分と個人的に配る分を分けて置いた。自宅には、杉山の荷物も届いていたのでなにも知らない両親は驚くばかり。「どういう事だ?文野」「向こうで一緒になったの。杉山先生は部長先生の代理で急遽出張になったらしいわ」「でっ?何でそのあと一緒に行動してるんだ?」「僕が説明します。文野さんに迷惑をかけているようなので…。」「ご両親の了解をとらずに僕がご一緒させていただいたんです。」「別に了解をとる必要なんてないですよ」文野の母が笑って手を振る「学会が終わって帰る予定だったんですけど部長にそのまま休みを取るように言われまして。」「はぁ?」「ノープランだったので急遽文野さんの旅行に同行させていただいたんです。女性のひとり旅も危ないし、ちゃんと別の部屋に泊まりましたよ?」「そこは心配してないですかえって返り討ちに会うかもしれませんし」と文野の母親はにこり微笑む「返り討ち?」「何でもないですよ」
どうにか両親への誤解が解けて杉山は夕食もごちそうになって帰宅した。
職場は相変わらず忙しく過ごした。1週間休んだのでやることが一杯だった。水野雅美は、文野の横浜が変わっていたので驚いた事を話した。木下はいよいよオープンする店の紹介で張り切っていた。
「いよいよね。もう準備は済んでいるの?」「はい後は人材です。バイトもパートも決まったんですけどリハーサルとして皆さんをまたご招待したいんです。立花さんどうですか?」「行く行く。」「何時なの?」「今夜と明日の夕食にいかがですか?」「私も行けるよ。」「水野さん。ありがとうございます。嬉しいなぁ、待ってますよ」「私もよ。」「お子さんは一緒にどうですか?」「煩いわよ。折角の練習に邪魔でしょう?」「いいえ。かえって勉強になりますから。是非ご一緒に。」「本当に?」
「はいお待ちしてます」「今夜と明日ね。両日行っても良いの?」「勿論ですよ。」「夫に連絡するわ」「私も…。」「誰と行くの?」水野が突っ込む「えっ両親よ。」「なんだ…。」「何よ?」「前は病院の先生とご一緒でしたよね?」「誰よ紹介しなさいよ。」「先生の都合もあるんじゃない。駅が一緒だから声を掛ければ行ってくれるかも知れないけど。」「是非お声をかけてください。前回と違うメニューもあるし、味を変えたのもあるので食べた感想を聞きたいですから」「う~ん病院に行く用事もないですからねぇ」「会うチャンスがあったときに話してみます。オープンは来月の1日で良いんですよね?」「はいそうですどうぞご贔屓に」「一旦帰りますか」水野は子供達を連れて来るので一旦帰っていった。文野は両親を連れて来るのだが直接駅で待ち合わせるので木下と店へ向かう事にした。
「では先に店に行ってます」「ええ。私も直ぐ向かいます」文野を残して木下は店に向かった「文野さん?」杉山が声をかけてきた「あら杉山さん、お疲れ様です。今お帰りですか?」「はい。今日は何かあるんですか?もしかして木下さんのお店?」「はい最後の試食会です。杉山さんもいかがですか?」「急に参加してもよろしいんですか?」「ええ、実は誘ってくれって言われたんですけど。会う機会があればと言ってたんですよ。」「連絡してくれて良いのに。」「わざわざ声をかけるのもねぇ。でも今日はうちの両親も一緒なんですよ。明日にでもご一緒出来たら…。」「なんだ、文野。杉山先生も一緒か?」「いえ、先生は…。」「よろしければ御一緒して宜しいですか?」「どうぞどうぞ私達は構いませんよ。」「さっき偶然、改札で文野さんを見かけたんですけど。これから何か食べに行こうかとおもってたんでラッキーでしたね。」「では参りましょうか」思いがけず、4人での試食会への参加になった。店舗の廻もきれいに整い看板にカバーがかかって開店日にはずされるのだろう。「準備は万全のようだね?」「そうですね。この間はまだ外壁も出来てなかったですから。こんなデザインだったんですねぇ。男性が一人でも入りやすいデザインですよ」「男性でも一人で入りにくいとかあるんですか?」「そりゃあ、あまりに可愛い過ぎると入りづらいですよぉ?」「なるほどね。」「ささ入りましょう。」4人で木下の店へ入った「いらっしゃいませ~」「こんばんは。お邪魔します。」「ありがとうございます。杉山先生も御一緒なんですね?」「改札でばったり会ったんです。それでお誘いしました」「スミマセン。急に参加してしまって。」「いえ、是非誘ってくださいとお願いしたんですよ」「ありがとうございます。ごちそうになります」「どうぞお席に」4人は一緒の席に案内されたが文野の母が食べる好みも違うだろうからと文野と杉山の席を別にして貰った「杉山先生も気を遣われると美味しいのも半減するわよ」「そんなもんかね?」「そう言うものです」立花夫妻の会話である
結局、別々のテーブルで食事を取ることになり文野は温野菜のサラダとナポリタン。杉山は、生姜焼き定食を注文した「今日はグラタンじゃないんですね」「杉山さん、私が熱いもの苦手なの知ってるでしょう?」「冷まして食べたら良いんじゃない?」「今日はパスタにします
」「父さんは、何を注文したのかな?」「鯖っぽいよ」「前回は僕が鯖味噌オーダーしたんですよ」「そうでしたね。美味しかったでしょう?」「ええ家庭的な味でした。でも家庭的な定食屋で行くのかおしゃれな方向に行くかで味も良いでしょう。方向性によると思うんです」
食事の後、4人でお茶を頂いて店を出る
「今日は突然お誘いしてすみません。では失礼します」「こちらこそ、愉しかったですよ」駅前で杉山と別れ文野達は自宅へと戻った。
「杉山先生は、まだお一人なのかしら?」「入院中は、決まった人はいないって言ってたが」「いい人なのにね。勿体ないわ。」「ご縁があれば良い方に出会えるだろう。まだ出会ってないだけさ」「そうなんでしょうねぇ」「…。」
茶の間での文野の両親の会話である
なにも知らない文野は自室で、杉山に連絡する「杉山さん、明日も大丈夫ですか?」「ええ勿論。」「良かったです。元々明日誘うつもりだったから、改札であった時は焦りました。」「僕も急に声をかけられて驚いたよ。でも思いがけず文野さんに会えて嬉しかったけど?」「まさか両親が誘うと思わなかったから私も予定外でした」「愉しかった。明日も楽しみです」「では明日また…。おやすみなさい」「おやすみなさい」
翌朝、水野が出勤早々文野と木下に謝りに来た「昨日は、ごめんね。今日は、絶対行くから。」「無理しなくて良いですよ?オープンしてから来ていただければ。」そう言って木下は笑って手を振る「今日もお邪魔しますね。」と側に文野が笑っている「今日は二人で?」「ええその予定ですよ。両親は美味しかったって喜んでました。特に母は、外食の機会がないから喜んでました。」「ありがとうございます。帰りに味付けのヒントまで頂いたんですよ。」「余計な事をしてなければ良いんですが」「とんでもない。本当に喜んでましたよ。」
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