南の都編 閑話 どこから聞きつけて集まったんだろう・・・
さて、最低限の・・・と言うより当初予定していた全員のお引越しが終わり、農作物の収穫体制が整った我らが南都ルシメル。
ちなみに収穫物の回収はお昼と夕方の2回、俺と(引き継ぎにより塩の精製作業が必要無くなったので王都で暮らすようになった)ドーリスの2人で行なっている。
「てなわけでしていきなりではありますが現状での生産物のプレゼン大会を行いたいと思います。・・・身内の食事会なのに何故かやんごとない方々までご参加されているのはどうしてなんでしょうか?」
「もちろん我々も身内だからであろう?」
「そうだな、現地視察の前にどのようなものが生産されているかの確認も大切だからな」
「新作料理の試食会と聞いているのである!昼食を抜いてきたので早く始めてもらいたいのである!」
「卿はあれだぞ?とりあえず一番に王城に連絡する癖を付けるべきであると思うぞ?」
「うむ、義父(ちち)と呼ばれる方々は多いが義兄(あに)と呼ばれるのは私だけなのだからな」
「いえ、殿下の下にももう一人いらっしゃいますし私も一応は義兄・・・いや、私も義父で間違いなかったよ、うん。さぁハリス、お義父さんと呼んでごらん?」
「ハリス、何度も言うように僕のことを呼び出す時は二人きりの時だけにしてもらえないかな?もちろん性的な意味ではないからね?この状況を客観的に見てもらえないかな?ほら、胃腸がね?キリキリと痛みだして変な音をたてるんだよ?」
「・・・」
「お願いですから全員でいっぺんに喋りだすの止めてもらえますかね?」
約1名固まったままで口を開いてないけど。
てことでうちの王都屋敷に集まったのは上から順に『ガイウス様、マルケス様、ブルートゥス様、国王陛下に王太子殿下、コーネリウス様にエオリア、そして最後に涙目のペルーサ』である。
どうせならお姉様方も連れてきてくれれば少しはテンションも上がるのに。
ああ、もちろん奥さんたちwith姫騎士様も全員集合している。
てかヘルミーナ様、木星帰りのニュータイプばりのプレッシャーをお父さんにかけるのは止めてあげてください。
そしてそこで瞳を輝かせているAさん、あなたはあくまでも『給仕係』であって食べられませんので。
集まってるメンバーにエオリアですら(いつも通り)萎縮してるのに一介のメイドさんが食欲全開とかある意味ものすげぇメンタルの持ち主だよな。
「主よ、飯はまだかの?」
「ミヅキちゃん、昨日食べたでしょ?」
「いや、ご飯は毎日食べさせてほしいのじゃが・・・」
しょぼんとした顔になったミヅキが少しだけ可哀想(あはれ)なのでさっそくお食事会を開始することにする。
「えー、今回はあくまでも素材の味がわかりやすいようにシンプルなお料理メインで・・・ブルートゥス様、バイキング形式なので料理の前に並ばれるのは何の問題もないのですがせめて説明が終わるまで待っていただきたかったのですが・・・まぁとりあえずお召し上がりください」
何なの?全員そこそこのおじさんなのに腹減りっ子なの?
そして今回はマジで身内だけで味見の予定だったから料理の見た目が田舎の定食屋みたいなすこぶる地味な感じなんだけど・・・特に誰も気にしてないみたいだしいいか。
てことで最初はお米ゾーン。
小さめのおにぎりが3個と出汁巻きが二切れにお味噌汁。お値段にすると380円くらいか。
悩んだのがおにぎりの具材(中身)。
昆布の佃煮とかおかかとか梅干しとか無いんだもん。
海苔は魔導板さんお手製の韓国海苔っぽい塩味ごま油風味のモノを巻いてあるけど。
てことで中身は
「これは肉・・・いや、魚をほぐした物かな?生臭さなどは一切なく白いソースに包まれてなんともはや・・・。そしてこの外側の白いつぶつぶは確かコメと言う物で合っているかな?南方から取り寄せたものを食したことが有るがこのような甘みや独特の風味はなかったと思うが」
「うむ、真ん中のものは何も入ってはいない・・・もしかして外れなのか?いや、違う、そうではないのだ!ほどよく塩味が効いていてこれはこれで完成されたなんとも言えぬ深い味わい・・・外に巻かれている不思議な深緑色の何かととてもマッチしているな」
「最後のものは甘辛く仕上げた牛肉をほぐしたものですね。煮込まれた牛肉、そしてそのソースが白い・・・コメ?と言うものに染み込んでとても後をひきますね」
「この添えられている黄色い卵を焼いたものもさっぱりとしているのに複雑、なんという馥郁とした味わい!」
「このスープ、始めてだけど美味しいわね。閣下、このスープの調味料は売りに出される予定なのでしょうか?あとこの、おそらくは海藻を乾燥させたものも是非とも売って頂きたいです」
てか握り飯を両手に握りしめて何いってんだこいつら・・・。ちょっと語彙力の有る裸の大将かよ。
あとペルーサが今日始めて喋った。そして貿易港で商売してた商人だけあって海苔が海藻だってすぐに気づいたのも何気に凄いのではないだろうか?
ちなみに具材は『ツナマヨ(っぽいヤツ)、塩むすび、牛しぐれ煮』である。塩むすびは具材とは言わないな。
いや、まぁ俺もみんな(奥さんと)で食べようと思って今日までずっと我慢してたからもちろん美味しいしそれなりに感動してるのは確かなんだけどさ。
あと1人分ずつお皿にわけてるのに2皿も3皿も食べるのはやめようね?回転寿司じゃないんだからね?
どうせならもっと大きく握って欲しい?気を使って小ぶりにした意味無ぇじゃん・・・。
握り役のドーリスが大忙しである。
続いて2品目、各種カレー。
もちろん今日はナンじゃなくてカレーライスな!
トッピングに揚げ物もご用意。
「ほう・・・何度か食したナンとか言うパンとは違いカレーソース?がコメに絡み合って渾然一体、否、これこそが本当のカレーだと言われても納得の味だな」
「こう、匙でかきこむように食する、粗野で男らしい食べ方をしてこそ野性的な魅力を感じさせる・・・まさに男の食べ物」
「コメもいいけど私はいつものチーズがたっぷりと溶けたほのかに甘いパンと食べるのが好きかな?」
「うむ、カレーにはカツ、そしてエビふりゃー!主よ、タルタロスソースはどこかの?」
「ああ・・・わたしも、わたしもカレーが飲みたいですぅ・・・」
ふむ、コーネリウス様はナン派か。
そしてミヅキはただただ揚げ物が好きなだけだろ。あとAさんは働け。
てかお米ゾーンで全員がほぼほぼ満腹になってしまい続く野菜ゾーンまでたどり着けなかったという。
飲み物に用意したミックスジュースとデザートのシャーベットは食べてたけどさ。
最初にちゃんと試食会って言ってあるよね?
子供じゃないんだからちゃんと加減して食べてほしかったんだけどなぁ。
むしろおにぎりで腹八分目くらいにしちゃってたよね?
そしてそこからカレー二杯とかどう考えても食いすぎだろ・・・。
果物は表面が乾いたりするから切り分けてなかったので量を増やしてお留守番のお姉様方にお土産として持ち帰ってもらうことにした。
あ、ついでにお野菜も付けますから持って帰ってもらえます?出来れば味の感想など頂けるとありがたいです。
お米も欲しい?いや、お米は炊き方とか釜とか用意するものがありますので・・・料理人をあとでこちらに寄越すと。了解いたしました。
そして残りの料理、ゴロゴロ野菜のクリームシチューや新玉ねぎたっぷりの肉じゃが、さつまいもと季節野菜のかき揚げやシェフ(ドーリス)の気まぐれサラダなどは番組・・・じゃなくて試食会終了後にスタッフ(メイドさん)がおいしくいただきました。
ちなみに年中何時でも収穫できるので一年を通して新玉ねぎだし全部季節野菜なんだけどさ。かき揚げを食べる時にたけのこも欲しいと思いました。
「ハリスさん!次、次のお食事会はいつになりますかね!?あとカレーが食べたいです!」
「いや、たぶんだけどもうしないんじゃないかな?」
「そんな・・・散々わたしのおなかを弄んでおいて・・・一度限りでさよならなんてあんまりです!!」
「何いってんだこいつ・・・」
―・―・―・―・―
なんとっ!皆様のおかげさまでPVが1000万を突破いたしましたっ!!
すげぇ・・・述べ人数だと日本人の10人に1人が見てくれている計算に・・・。
てことで記念SSならぬ記念閑話でした~♪
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