孤児院編 その9 そして月日は流れて・・・

 そしてそこそこの月日が流れ去り・・・俺が14歳になった年明けである。ざっと2年ちょい経ったわけだな。長かったのか短かったのか。

 いや、特にセンチメンタルになる様な出来事は皆無なんだけどね?


 一度俺の貯めている(シーナちゃんと二人分の食事に使ってるからそれほど溜まってもないんだけどね?あと下着も買ったし)小金を盗もうとした三馬鹿が孤児院から追い出されかけて土下座で泣いて謝る・・・頭を思い切り踏みつけただけで許してやったりなどの心温まるエピソードも有るのだが。


 これ、あまり世間体はよろしくないな。

 あの時はさすがのシーナちゃんもドン引きした顔だったなぁ・・・。

 いや、何らかの罰を与えないと本当に追い出されそうだったからさ。俺も少し泥をかぶってやったのだ。

 本当だよ?決してこれまでの鬱憤を晴らしたわけではない。そこそこの量の鼻血も出してたし下手したら鼻の軟骨も折れてたかもしれないけど。


 てか『2年以上も毎日毎日女神像を彫り続けてそんなに大量の需要があるのか?』って思うんだけど・・・案外あるらしい。

 最初のうちは普通に北都内の信者さんが買ってくれてたみたいなんだけどそのうち行商の人なんかも買って行くようになり、どちらかと言えば常時品不足なくらいだったもん。


 段々と『器用さ』も上がっていったから作品の質も(ある程度は抑えめに作っているのにも関わらず)上がってるしさ。

 俺が受け取る工賃が『大銅貨3枚』売値が『小銀貨3枚』。教会側は作品を受け取って並べるだけの簡単なお仕事で結構な儲けになってたはず。


 ・・・まぁそんな事はどうでもいいんだ。少なくとも三馬鹿のやらかしなんていつものことで振り返るだけ無駄な事柄だから。教会が稼いでも孤児に還元なんて無いしね?

 そしてハリス君、前向きな所だけが取り柄なのだから過去を振り返るなんてしないのだ。能天気万歳。

 てかアレだよね?11歳にこっちに来てから足掛け三年柿八年。柿何の関係もないわ。


 昔俺が日本に居る時に読んでた様な物語、いわゆる『内政チート物』とかだと俺の境遇(無役の准男爵家の三男)でもすでに子爵位くらいは叙爵してて伯爵家の御令嬢と婚約してるレベルの年月だからね?

 でも現実だと同じ作業の繰り返しでほんの少し成長してれば御の字、むしろ状況が悪化してないことを神に感謝しなければいけないという。

 現実に夢が無さ過ぎて辛いんだけど・・・。


 でもほら、俺には『やりなおし』スキルがあるから!!

 頑張った、今日までものすごく頑張った!!

『死なない』をスローガンに基礎能力値も上げた!スキルも上げた!そしてレベルも上げた!!


 その結果がこちら



レベル・・10


HP・・・30(195)

MP・・・30(195)

体格・・・30(195)

筋力・・・30(195)

知能・・・30(195)

魔術・・・30(195)

器用さ・・30(195)

敏捷さ・・30(195)



 ・・・能力値、そこそこ頭のおかしい数値になってた。

 30って基礎能力値だけでも人類通り越してるからね?俺が勇者してた時ですら基礎値が30平均とか無かったもん。

 その上でのレベルアップ時の加算値である。

 一騎当千・・・は無理でもこの国の騎士100人くらいなら武装無しでも無双出来そうな勢いである。

 いや、油断してはいけない。でも観察眼で見た警邏(けいら)してる衛士さんくらいならいけるはず。



 続いてスキル



 属性魔法


光魔法ランク5、闇魔法ランク5、火魔法ランク5、水魔法ランク5、土魔法ランク5、風魔法ランク5


 戦闘スキル


体術ランク5、格闘ランク5


 補助魔法


合成魔法ランク5、植物魔法ランク5、時空魔法ランク5、時空庫ランク5、硬化ランク5、観察眼ランク5、鑑定眼ランク5、魔眼ランク5


 生産スキル


設計ランク5、製造ランク5、錬金術ランク5、硬化ランク5、付与ランク5


 その他


毒耐性ランク5


そして経験値残が 833,000点 



 欲しいスキルが見つかったらすぐに取れるようにってのもあるけど、レベルアップには足りないしステータス上げるにも大して増やせないと言う・・・。

 レベル10から11にするのに100万超えるからね?必要経験値。


 まぁ欲しいスキルが出来たらその時に使ってないスキルのランクを下げるとかすればいいだけなんだけどさ。一度上げた(手に入れた)スキルを下げるとかなんとなく寂しいじゃん?これだけ世話になっておきながら『やりなおし』を否定するような物言いだなこれ。


 スキルのランクは全体的に5まで上げた、だってランク5までは経験値的にお安いからお得感があるし。

 増えたスキルは『観察眼』に『鑑定眼』に『魔眼』。全部同系統のスキルだな。

 他の人のステータス等々どうしても見ておきたかったからさ。

 確認しておかないと自分がどの程度『弱い』のかがわからなかったからね?敵を知り己を知ればって昔の人も言ってたし情報は力なのだ。


 そして色々と観察した結果はと言えば


『この国の兵隊さん及び探索者はそれほど強くない』


 で、ある。


 能力値では『10』を超える者はほぼ居ないしレベルも『5』あれば高い方、最高でも『8』の人が探索者に1人だけだった。

 ・・・いや、大丈夫なのかこの国?むしろこのレベルの兵士しかいない国が滅んでいないと言うことは世界的にもこんなもんなんだろうか?

 結構長い間戦争もしてないようだしそうなもかもしれない。


 でも前の世界だと普通にレベル20超えてる冒険者もゴロゴロいたからね?戦争も日常茶飯事。完全に世紀末じゃねぇか・・・。

 ちなみに能力値が(最初から)『10』でレベル『8』の人間の補正込み能力値は『44』である。途中で能力値が上がったなら補正値の効率は最初からあった人間より下がるし。

 うん、現状のステータス『30(195)』でもそうそう負けようがないな。


 ちなみにこれらの『眼系スキル』の違いであるが『観察眼』はほぼ『魔眼』の下位互換って感じで使い勝手はよろしくない。

 なら何故取ったのかと言えば・・・もちろん魔眼の習得に必要なルートスキルだからだ。


 品物を鑑定するそのものズバリの『鑑定眼』も魔眼のルートスキルではあるがこちらは使い道が違うので役に立つ。品物の品質とかわかるから。

 逆に魔眼(及び観察眼)でわかるのは『生き物の能力値(植物は鑑定眼スキルの方だし他も要検証ではあるが)』だな。

 魔眼、『見つめた人物の名前、レベル、能力値、スキル、こちらに対する敵意』まで視ることが出来る凄い奴なのだ。

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