新しい同居人編 その2 ・・・これ、駄目なやつだわ

「ちがう、こんなことしてる場合じゃないんだ」

「どうして主はそれに半日気付かなかったのじゃ・・・」


うん、パンツとかブラとかメイド服作るのむっちゃ楽しかった。

ほら、トランクスって股間部分が鋭角じゃないですか?それがショーツになると丸みを帯びて包み込むじゃないですか?

何の主張だこれ。

そしてドーリスが着替える時もいっぱいガン見した。

もうね、ドーリスさんのお身体超エロい。何かこうエルフさんとは違い等身大にエロい。リアル系でエロい。


でも今日やろうとしてたのはそんなことじゃないんだ・・・。

そもそも朝っぱらからポッチがポッチでポッチだったのが悪い。つまり俺の責任では一切ないのだ!

そう、本来今日しようとしてたことは


『サーラ嬢とメルちゃんの装備品の強化』


なのである。

だってほら、迷宮探索とかここ(男爵領)の防衛をしてもらわないといけないしさ。

素材?基本はもちろん新しい鋼・・・だと思うじゃん?でも違うんだなぁこれが。

ほら、最近何回か公爵邸を往復してたじゃん?その時にこっそりと貰った物があるんだ。

覚えてるかな?俺が某おバカと約束して受け取れなかった素材。

そうだね『黒竜の下半身』だね!なんか嫌な字面だな『下半身』。


北都から王都に持ち込まれたのは良いが加工出来る人間がいなかったらしく思いっきりもてあまされていたらしい。

血は全部抜けてたけど肉の部分も腐ってなかったしドラゴン、死んでても謎生物である。

で、竜の素材。肉は置いといて残りの部分。『鱗、皮、骨』だな。

上半身があれば牙とか角とか目とかもあったんだけど・・・粉々に飛び散ったから仕方ない。


てなわけで皮と鱗で『黒竜の全身鎧』、骨で『竜牙剣』を作ることに。

うん、すでになんとなくおかしな部分が何箇所かある。

鱗で作るなら『鱗衣鎧(スケイルメイル)』じゃないのか?・・・理屈はわからないけど普通に全身鎧に加工出来たんだからしょうがない・・・。

骨で作るなら『竜骨剣(ドラゴンボーンブレイド)』じゃないのか?・・・だって制作リストにそうかいてあったんだもん・・・。

てなわけでいつも通り細かいことは気にするなの精神で二人分作り上げた。魔導板さんが作ってくれただけで俺は二人の色々なサイズの入力以外は何もしてないんだけどね?


てかさ、出来上がった剣と鎧・・・これ、駄目なやつだわ。


竜牙剣、真っ白な剣身の長剣なんだけど・・・特に付与とかしてないのに色々と特殊効果が付いてる。

まず『回復』。修復じゃなく回復。使用者の怪我じゃなくて剣の刃こぼれなんかが治るのだ。そもそも竜の骨が刃こぼれすることなんてことがあるのかはわからないけど。

まぁ元々骨だし?勝手に治るくらいはするだろ。竜だし。

そして『軽量化』。重さが普通の(鋼の)剣の3分の1くらいになってる。

個人的にはあまり軽すぎる剣は扱いにくいんだけど・・・慣れれば軽い方が疲れにくいだろうし良いことだろう。


問題は『竜牙』と『咆哮』。両方MPを消費するんだけどさ。


『竜牙』の方は防御力無視・・・MPの消費量によって何でも斬れる。岩だろうが鋼のインゴットだろうが熱したナイフでバターを切る様に。


『咆哮』の方は遠距離攻撃・・・MPの消費量によって遠距離攻撃できる。剣先を向けた方向にドラゴンブレスを放つ。


・・・あれ?むっちゃぶっ壊れ性能かと思ったけどそうでもないのか?俺、普通の剣でも岩くらい斬れるし。ブレスは吐けないけど威力では負けない魔法は撃てるし。

そもそもMP消費があるからメルちゃんもサーラ嬢も今の所使えないしさ。

現状でもむっちゃ斬れる剣としては問題ないはず。

でも自動修復は嬉しいから自分用にも一本用意するかな。


黒竜の全身鎧は剣とは逆に真っ黒な全身鎧。そのままか。

形状は甲冑と言うよりもヒーロー物ってか宇宙の警察っぽい。

あ、アレだ、一番近いやつ『牙◯』だコレ!!

ちなみに兜部分は竜の顔っぽくなってる上、真っ黒でフルフェイスのヘルメットの如く完全にふさがってるけど『内側からは外がクリアに見えるマジックミラー』みたいな不思議構造。


てか兜をかぶると鎧と隙間なく繋がるという微妙に気持ちの悪いモノでもある。息苦しくなったりはしないのでまぁいいか。

二人の身体に合わせてるからピッタリとしたフィット感がそこそこセクシー。女騎士最高である。

見た目は正義の女騎士じゃなくて魔王軍の女幹部だけどな。漆黒だし。

ビキニ系の鎧ももちろん良い物だが個人的にはピッタリ系の完全鎧の方がいとおかし。

こっちも『回復』と『軽量化』が付いてるので使い勝手はとてもいい。全身鎧なのに普通の洋服並みに動きの阻害もしないし。


で、こちらも問題・・・ではないがおかしな特殊効果が付いてるんだよなぁ。『魔法耐性』と『物理耐性』。


読んで字の如く魔法攻撃と物理攻撃に対してとても強くなる。

攻撃魔法も補助魔法(精神攻撃などなど)もほとんど無効化されるという完全に魔法使い殺し。

そもそも竜の鱗だから普通の剣や槍では傷もつかないし内側は竜の皮だから鈍器系の衝撃も吸収しちゃう。

・・・あれ?でも俺、鎧を着けて無くても魔法とかほとんど効かないし攻撃も受け付けないんだけど・・・。

でも見た目厨二的でとても良いし自分の分も一着用意しておこう。


あ、そう言えばサーラ嬢は盾も使うんだったな。一応用意しとくか。



夕食には少し早い時間に完成したので二人を呼んで渡すことに。てか、この二人、朝から今まで多少の休憩をはさみながらずっと稽古してたらしい。

メルちゃんは俺がたまにお相手してたけどサーラ嬢は同じレベルの稽古相手が居なかったから嬉しいんだろうなぁ・・・。

当然のように二人ともこの寒い中で汗だく、はぁはぁ言いながら中に入ってきた。うわぁ・・・下着姿で二人で挟んでくれねぇかなぁ・・・。

うん、俺、女の子の濃厚な匂いとか大好きなんだ。みんなもそうだろう?決して俺の性癖がおかしいとかではないはず。


「えーっと、とりあえず先にお風呂入る?」

「それはつまり直ぐに抱かれたいかお風呂に入ってから抱かれたいかということでありましょうか?」

「ハリス・・・お前・・・」

「稽古後だから汗を流したいんじゃないかと思い気を使ったのになにこの謂れのない言い掛かり・・・いや、新しく二人の装備品を用意したからさ、おニューの鎧だしお風呂上がりのほうがいいかなと思ったんだけど」

「お風呂に入ります!!」

「わ、私も入ってくる!・・・ど、どうしてもと言うならハリスも一緒に入ってもいいぞ?」


新しい装備と聞いた途端に食い気味に答える二人。

そしてついつい2歩くらい前に出ちゃったけど『い、いっしょになんてはいらないにょ』とクールに送り出す俺。

くっ、ハードボイルドに生きてる(ただ根性がないだけの)自分が憎い・・・。

あ、まだお風呂にお湯入れてないや。慌てて声をかけて先に湯船を満たす俺だった。

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