北都・公爵館 その11 逸材のメイドさん
ほっ・・・。最悪、むしろ災厄は免れたな。てか匂いじゃなくて臭いだったしな。
ちなみにこれ以上の詮索をしてはいけない。何故なら御令嬢が真っ赤になってこちらを睨んでいるからだ。
「貴様はなかなか行動的(アクティブ)な変態だな!」
「今回に限っては言い返せねぇ・・・」
そう、ポンコツ娘に罵られても我慢だ。
て事で何となくこの世界の魔道具がどう言う物かがわかった。公爵家で使ってる物があのレベルならそれほど発展している技術でも無いのだろう。
そもそも魔道具以前に魔法がそんなに発達してないようにも思えるもん。
てかあの風呂場、改装してぇなぁ・・・まぁ俺が本館のお風呂を使うことは無いからいいんだけどさ。
その後なぜかわからないがメルちゃんの朝稽古(既に昼なんだけどね?)に二時間付き合わされた。
今日も『もう・・・らめぇ』って言うまで相手してやったぜぇ。
もちろんメルちゃんは口では言わないから精神的にだけど。きっと言ってるハズ。
てかそこそこ朝早くから起こされて今まで色々してたから今日は朝御飯食べてないんだよなぁ。
孤児院生活で空腹には慣れてるから晩御飯まで保つって言えば保つんだけど。寮の食堂に行ったら何か貰えるかな?
てことで食堂に行ったら朝御飯は普通に貰えた。むしろ朝から大変だったねぇと憐れまれた。
さて、トイレ、お風呂、お風呂周りのアメニティも大切だけど出来れば今すぐに欲しいのが『替えの下着』そして『歯ブラシ』。
着替え、高いから一組しか買ってないんだよね・・・。てかほら、紙が作れるんだから布も作れそうじゃん?
で、布が作れるなら下着とか服も作れそうじゃん?もろちん・・・もちろん材料は必要だけどさ。なぜこのタイミングで挟んだ『もろちん』。
必要そうなスキルは『紡績』・・・無いな。『織物』はあるから糸紡ぎも含まれてるのかな?ランク5までならまだ20種くらいスキル取れそうだし取っちゃえ。
材料はやっぱり麻とか綿とか絹、毛織物になりそうな動物の体毛って感じか。
戦国時代の上杉謙信の話でよく出てくる、あお・・・あお・・・あおむし?なんか芋みたいな漢字のやつ。
あんな系統の個人的に全く知らない素材も有りそうだけど・・・知らないんだからどうにもならない(真理)。
そして麻でさえ擦れて痛いのにそれよりチクチクしそうな素材は勘弁してもらいたい。
さすがに公爵家の庭(広場?)で綿花の栽培などしてるはずもなく、俺が目をつけたのは『ボロ布』。
そうだね、ここん家のトイレで使われてるアレだね。
紙を作る材料にボロ布が使えるんだから布を作るのに使えなかったら苦情を入れてもいいはず。誰にやねん。
さすがにお屋敷のトイレから勝手に全部回収してきちゃうと個室に入った皆様がパニックを起こすのでまたまた誰かメイドさんを捕まえて・・・あ、食堂でお茶してる人発見。
「あの、すいませんが少々お時間よろしいでしょうか?」
「ハリスたん!?」
いきなり斜め後ろから声を掛けた俺も悪いがそこまでビックリしなくても・・や、寮にはほぼ女の人しか居ないのに男に声かけられたら驚くか。
てか『ハリスたん』って可愛い噛み方だな。大人っぽい雰囲気で出来る女って感じなのに。少しホンワカしてしまう。
「いきなり申し訳ないです。あの、少々お願いがありまして。実は下着がほしいのですが」
「下着!?欲しい!?こ、ここでですか!?その、差し上げるのはやぶさかでは無いのですがここで脱ぐのは人目がありますので・・・」
物凄く残念そうな表情のメイドさん。
てか脱ぐ?人目がある?・・・!!
「いやいやいや、違う、そうじゃない、そうじゃないんだ!!」
「ええ、ええ、お姉ちゃんはちゃんと分かってるよ?ハリスたんもそう言うお年頃だもんね?もう・・・でもちゃんとお姉ちゃんに言えて偉いぞ?」
誰だ出来る女とか言ったヤツ!今まで声かけた中で一番おかしなヤツじゃねぇか!
確かにある意味で出来そう(意味深)な雰囲気だけども!!見えてるトラバサミってレベルじゃねぇぞ!?
「えっとですね、そうじゃなくて下着がね?俺の替えの下着がなくてですね」
「えっ?ハリスたんお姉ちゃんのパンツ穿きたいの!?そう、でもそう言う愛の形も確かにあるよね?」
「誰か助けてー、言葉が通じないのー」
そこそこ大きい声で二人で騒いでたので何事かと様子を見に来た違うメイドさんに事情を説明。
ちょっとイカれたメイドさんは
「いやっ、お姉ちゃんはハリスたんと一緒にいるのっ!パンツを共有するのっ!!そして二人の赤ちゃんを産むのぉぉぉぉ!!」
などと意味不明な事を叫びながらズルズルと引きずられた行った。
やはり知らない人に声をかけるのは危険だな。いや、それで済ませちゃ駄目な人材(ある意味逸材)だろアレ。
『Aさん(ポンコツ)』『Cさん(ゼニゲバ)』『さっきの(ヘンタイ)』と俺のメイド像を破壊されっぱなしだぞ?
・・・お、噂をすれば・・・知ってる人発見。
「ああ、Cさんお久しぶりです。えっと実はですね、ボロ布が欲しくて」
「シーさん??昨日ぶりですのでお久しぶりではないと思いますが・・・旦那様はそんなに私と会いたかったと。ボロ布ですか?あるにはありますが・・・」
「特に特別な物じゃなくてトイレで使ってるやつでいいんですけど。もちろん代わりのモノは用意させていただきますので」
ポケット(経由で時空庫から)からポロンとロールタイプのトイレットペーパーを出す。うん、サイズ的にポケットから出したと言いはるのはそこそこ無理があるとは理解してる。
でもいちいち部屋に戻って持ってくる振りとか面倒くさいじゃないですか?Cさんには昨日すでにやらかしちゃってるし。
「これでどうでしょうか?」
「な、なんですその真っ白い薄い・・・紙?物凄くツルツルと言うかスベスベと言うかサラサラとしてるんですけど・・・」
「もちろん布の代わりに使うモノですよ?3重とか4重にしてこう・・・いや、使い方はわかりますよね?」
「ええ、わかりますけれども」
「なら交換して下さい!とりあえず50ロールくらいでいけますかね?そんなに在庫が無いので足りなければ少しお待ちいただければ」
「わ、わかりました、大丈夫です、少しだけお時間ください、上の者と相談いたしますので」
よし、無事にボロ布ゲットだぜっ!!
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