第16話 これがトレントパワーです。


「ボロック君達を外に忘れてたのにゃ!!!!」



ミミリーさんが、両手に持った果物を放り出して走り出す。

僕も彼女についていく。


小さいお尻から生えた尻尾がユラユラ揺れてかわいいなぁ………グフュフュ……あ、ゲフンゲフン。


僕はいかがわしいことは考えてはいませんよ……ヒューヒュー………。



ちょっと通りにくい『防風林』を抜けると、ちょっとした草原が現れた。

そりゃそうか、泉の周辺に草花が茂っているんだから、反対もそうなっているか。


そういえば、初めて『防風林』の外に出たことに気づく。

緑化力が働く領域から外れれば砂漠。

一面の砂の世界である。


不思議な光景だ。

外の人から見れば、このオアシスを異常と思っても仕方がない。


一面砂の風景に目を奪われていると、ミミリーさんがコブのついた動物、前世で言うところの〝ラクダ〟を二頭引っ張ってきた。


ラクダ達の背中には、色々な荷物が載っていた。


どうやら、彼女は最初からここに誰かが住んでいると考え、あわよくば住人との取引をしようとしていたのだろう。

まぁ、何も持っていない僕としてはありがたい話である。



「ユーラにゃん。こちらがラククのボロック君で、こちらがケロンちゃんにゃん」



そう言って、ラクダみたいな生物−ラククを紹介してくれる。

こぶが二つあるのがボロック君で、瘤が一つなのがケロンちゃんらしい。


ネイミング……センス的にどうなのと思ったが、人の事を言えないのと名付けをしたのがミミリーさんなので何も言えない。

心の中で、『プフー』って吹き出しておく。


そんな二頭のラクク。

実は凄く大きい。

全長4m、全高3mくらい。


通れなくはないが、『防風林』の間を通るのは難がありそうだった。

そのため、ミミリーさんは二匹を外に置いておいたそうだ。


とは言え、彼らも客人。

中に入ってもらいたい。


ならどうする?

簡単です。こうすればいい。



「みんな〜ごめんね。少しだけ道を開けてくれるかな?」



木々に声をかける僕。

横で痛い子を見るような眼差しをしてくるミミリーさん。

やめてそんな目で見ないで……っと思っているうちに、ポプラさん達が少し退いて道を作ってくれた。


あぁ……ミミリーさんのお目目がどっかに飛んでいったよ。

口もあんぐり開いてるし、女性が見せていい顔では………ゲフンゲフン。

今日は喉の調子がわるいようだ。



とりあえず、ミミリーさんへ声をかける。



「これがトレントパワーです」



《備考》

・植林の内訳

 オアシス生活52日目(朝)

  合計植林 186本

   ▶︎桜 1本  ▶︎りんご 2本

   ▶︎梨 2本  ▶︎オリーブ 2本

   ▶︎アボカド 2本

   ▶︎防風林 第一陣:82本(完成)

        第二陣:95本(完成)



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 いつも読んでいただきありがとうございます。

 少しづつですが修正を入れています。

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