なるようになるさ
ヤンデレ真白さんをなんとかする為に、俺とリューは様々な作戦を考えた結果、最終的に俺の新曲『Alba』を真白さんに渡して、リューには諦めてもらう事にした。
俺の決定に、リューは終始文句を言っていたが
「それなら真白さんを何とかしてくれるんだよな?」
俺がそう言うと、リューは険しい顔になり
「ごめん無理!」
と、両手を合わせながら即答してきた。
「使えねー」
「うるせー!しょーがないだろうが!」
「はぁ、まぁそう言う訳だから諦めてくれ」
「くぅー・・・・」
落ち込むリューを他所に、俺は香取さんと話している真白さんの元に向かう。
すると、俺が近づいてきた事に気づいた香取さんが軽く会釈しながら席を立った。
俺が席に座ると、真白さんはもの凄く嬉しそうな顔をしながら
「うふふ、ようやくお話しできますね『助さん』さん!」
と言ってきたので、俺も軽く笑みを浮かべながら話しだす。
「そうですね。って!それより真白さん、今更だけど取り敢えず自己紹介をするよ。流石にずっと『助さん』て呼ばれると恥ずかしいからね!えーと、俺の名前は『木村京』一応大学2年だから真白さんの一つ上だよ。それから・・・・・」
俺が話し終わると真白さんは背筋を伸ばしてから
「『木村京』さんですね。改めて、『真白三葉』と申します。不束者ですが末永くよろしくお願いしますね、旦那様!」
真白さんは、にっこりと笑いながらまるでお見合いの席のような挨拶をしてくる。
と言うよりも、しれっと俺の事を「旦那様」って言ってきたぞ!!
俺はいつの間に真白さんと結婚したんだ?
そりゃあ、世間一般的にはこんなに可愛い子と付き合うを通り越して結婚なんて最大級の幸せだろうし、真白さんのファンが知ったら血涙を流しながら俺の事を殺しに来る事は間違いないと思う。
俺の事を「旦那様」って呼んだ事について突っ込むと、間違いなく面倒くさくなる事は確定しているので取り敢えずスルーした俺は、早速真白さんに本題を話し出す。
「それで真白さん。実はお願いと言うか、頼みたい事があるんだけどいいかな」
「???・・・何でしょうか?」
「俺と真白さんは、まだ二回しか会った事が無いでしょ。だからさ、真白さんの家にお邪魔するのはお互いにもっと交流を深めてからにしたいと思うんだ。どうかな?」
俺の質問に対して真白さんは
「そんなの愛があれば大丈夫です!・・・それとも旦那様は私の事が嫌いなんですか?」
と言って、瞳を濡らしてまるで子犬のような目で俺の事を見て来る。
(うわ!何この子スゲ〜可愛い!・・いやいやいや、落ち着け俺!これじゃあ真白さんの思う壺だ!)
上目遣いで俺の事を見て来る真白さんに、俺は思わず可愛いと思ってしまったが、すぐに正気に戻って話を続ける。
「別に真白さんが嫌とかそう言う訳じゃ無くてさ、持論だけど恋愛とかはやっぱりお互いの事をもっと知って、徐々に深めていくものだと思っているし、そうしたいと思っているんだよ!」
俺の話を聞いて、真白さんはなにか焦った様子で
「でも私、忙しくて旦那様とあんまり会え無いし・・・」
どことなく寂しそうであり、不安そうな顔をしている真白さんを見て、何で焦っているのか理由が分かった。
(あ〜なるほどね。真白さんが焦っていた理由ってつまり、忙しくて会えないから俺が他の女性に取られるんじゃ無いかって不安な訳か!)
そう結論付けた俺は笑顔で真白さんに対して
「真白さんの気持ちは分かったよ。でもごめんね、今のままじゃ俺は真白さんとは付き合う事は出来ない!」
俺がきっぱりとそう告げると、真白さんは泣きそうな顔をしながら何かを言おうとしたタイミングで俺は更に話を続ける。
「だからね真白さん。まずは俺と友人になってくれないかな?」
俺がそう提案すると真白さんは
「………分かりました。少し不満はありますが、旦那様のお願いと言う事でしたら私も承諾いたします」
と、提案を呑んでくれたので俺は作戦を決行する事にした。
「良かった!あっそうだ!これつい先日出来たばかりの新曲なんだけど、凄く良い出来だからぜひ真白さんに歌って欲しいんだ!」
「えっ?!」
驚いている真白さんをよさに、俺は新曲の入ったノーパソを開き、イヤホンを真白さんに渡す。
真白さんは恐る恐るイヤホンを受け取ると自分の耳に付けたので、俺は曲を流し出した。
「!!!」
曲を聴いている真白さんは最初こそ驚いていたが、徐々に真剣な顔になりながら曲を聴いていた。
真白さんは曲が終わると、俯いていた顔を上げながら小声で
「……凄い」
と言ってから俺に向かって
「・・・本当にこんな素晴らしい曲を私が歌って良いんですか?」
質問に対して俺はドヤ顔で
「もちろんだよ真白さん!この曲は俺から真白さんへのプレゼントさ!」
俺が大袈裟に手を広げながらそう言うと、感激したのか真白さんは泣きながら
「ありがとうございます。ありがとうございます。ありがとうございます」
何度もお礼を言うので俺は
「ははは、そう言って貰えると俺も嬉しいよ。真白さんなら絶対この曲を最高の歌にしてくれると信じてるから頑張ってね!」
「はい!早速、旦那様から頂いたこの曲を最高の歌にする為に、これからスタジオに行って練習してきますので失礼します!!」
ドコ!
バタン!!
そう言って真白さんは俺が渡した音源の入ったUSBメモリーと、歌詞の書いてあるノートを持って控室を出て行った。
皆が呆気に取られて、静まり返った控室の中で最初に声を発したのはリューだった。
「いいのかキョー?」
「もちろんだリュー!これも計画通りさ!」
俺がそう言うと柊さんが
「なぁ木村、お前詐欺師の才能があるんじゃないか?」
と失礼な事を言ってきたので、俺が反論しようとしたらリューが
「何を言ってるんですか昇さん!キョーは詐欺師じゃなくて、女たらしの才能があるんですよ」
「そうだねぇ〜!さっきの木村君はまるで凄腕のジゴロみたいだったしね!」
リューと加賀美さんは柊さんよりも失礼な事を言ってきたので俺はすぐさま否定しようとしたのだが
「な、何言ってんだよリュー、それに加賀美さんも!!そ、そんな訳無い……とは言えないかも?」
否定しようとした途中で、実はあながち間違って無いかも知れないと思い、否定出来ないでいると全員揃って
「「「「否定しろよ!!」」」」
と言われて、俺が何も言えなかったのは言うまでもない。
*******
その後俺は、[RIZIN]メンバーや香取さんに挨拶をしてから無事に帰宅したのだが、俺は真白さんと言う悩みの種が増えた事で頭がおかしくなりそうになった。
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これにて[RIZIN]編は終わりとなります!
次話より選挙編へと戻りますのでお楽しみにして下さい!!
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