第二十一話 討伐
「ペンタか。無事だったようだな」
「時々死にかけたけどね」
トカゲから降り、ペンタに近づくとすぐ抱きつかれた。
「おいおい」
「えへへ」
胸に顔を埋め、甘えたような顔をするペンタ。コイツこんなキャラだったか?
「は、初めまして、クロノ殿」
声をかけてきたのは刀を二本持った女だ。
「ん? お前は」
「拙者『ミヤモト・ムサミ』っす」
ムサミと名乗る女は若干緊張しているようだが、刃のような鋭い目で私を射抜いた。その程度で怯みはしないが、『ムサミ』か。なかなか強そうだ。
「そうか。よろしくなムサミ」
「!? マジっすか。こ、光栄っす」
握手しただけで嬉しそうなムサミ。なんで喜んでいるんだ? 仲間が増えたからか? それならここにいる二人も。
「お前達はペンタの仲間なのか?」
「「は、はい」」
「『テオ・ミラーレア』だす」
「俺は『青助』だぜよ」
ガチガチに緊張した様子で答える二人。一人声がおかしく聞こえたが、気にしないでおこう。ゴリラよりはマシだ。
「そうか。私は『ディーア・クロノ』だ。よろしく」
ペンタに抱きつかれたまま緊張している二人と握手を交わす。
「カロロロ!」
すると突然トカゲが起き上がり、こちらに顔を向けながら口を広げたかと思うと、私達を襲うように地面がどんどん陥没していく。
「ヤバッ」
陥没した地面を見た瞬間、ペンタが二度と離れないくらいに抱きついていた手をあっさり離し、一瞬で私から離れて距離をとる。
「これはあの見えない攻撃。クロノ殿逃げるっす!」
「逃げろクロノの姉ちゃん」
「クロノ!」
いつの間にか離れているムサミ、青助、テオの三人。やっぱり青助だけ声がおかしい。あいつあんな
目の前が陥没し、すぐ体に生暖かい何かが当たる。この感触は……光りか。どうやらあの口から目に見えない極小の光を出しているようだな。
「私は大丈夫だ」
シャワーのように極小の光を浴びながらジャンプし、地面が大きく抉られる勢いのまま、トカゲの口へ膝蹴りをくらわせた。
「「「「!?」」」」
「ガロッ――!」
トカゲは空高く真上に吹っ飛び、ロケットのような勢いのまま雲を抜け、もう少しで宇宙空間ってとこまで飛んだが、重力に負けて地上に落ちてきた。残念。
ドゴオオオン!
トカゲの落ちた勢いで大地に数百メートルものクレーターができる。
「カッ……」
私は再びトカゲの上に乗り。
「痛いか? 可哀想だから終わらせてやる」
デコピンの構えでトカゲの顔をロックオン。
これで終わりだ。
そう思ったがしかし、トカゲの口から超音波のような鳴き声が流れる。
「カアアアアアアアアアア!」
「くっ、五月蝿い!」
あまりにもやかましいので、目覚まし時計を殴るように、トカゲの顔をつい殴ってしまう。
ボッ。
「あ……」
するとトカゲの首から上が消え、こと切れたように倒れ絶命した。
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