第33話 ルヴァイス視点

 

「ルヴァイス様。

 竜神官が薬の原料が不足していると、ルヴァイス様の【聖薬】の量を減らしてきました」


 ルヴァイスの執務室でテオが報告書し眉をひそめた。

 ルヴァイスは魔獣を倒した時の呪いがあり、定期的に竜神官が聖気をこめた【聖薬】を飲まなければ、呪いの痛みを抑えることができない。

 それが故、竜神官達がルヴァイスの国政にまで口をだすようになってしまった。 


「先日の嫌がらせか?

 まったく子供じみた嫌がらせをしてくれる」


「どういたしましょう?」


「そうだな。あいつらが満足する程度の抗議をしておけ、こちらが焦っていると勘違いさせておけば奴らは満足するだろう」


「……ですがそれでは……」


 テオが不服そうにルヴァイスを見つめた。


「多少の痛みなど、我慢さえすればいい。

 それよりも、ソフィアの力で研究を進める事が重要だ。

 すでにソフィアは先日の嫌がらせで表に出さぬと伝令しているが、竜神官達がソフィアに謝らせろとでもいいだしてきたら面倒だ。こちらが下手に出る事だけはできない。

 今はことを荒立てたくない。形だけの抗議で十分だ。

 研究所の研究を進めることを第一に考えろ」


「……はっ」


 テオは頷いて、一歩後ろに下がるが、ルヴァイスの顔を見て眉を顰める。

 心なしか以前より痩せてきたようにも感じるのだ。


(呪いが進行しなければいいのだが……)


 心配ではあるがルヴァイスは一度決めたことはよほどの理由がなければ変えない。

 自身が我慢すればいい問題ならなおさらだ。

 自分を酷使する癖は昔から変わらない。テオは強情な主にため息をついた。

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