第79話 突然



次の日エミリーは国外追放を言い渡され、ロヴェイユ王国を出て行った。

全てを聞いたルーナさんは泣き崩れ、自分も一緒に国を出ると言ったそうだ。

エミリーの居場所を伝えたので、体調が回復次第隣国へ向かうだろう。




その次の日には陛下の葬儀が行われた。


「国王陛下、、、。」


「国王陛下万歳!!!!!」


国中から集まった人々が陛下を讃え、その死を悲しんだ。


「近日中に正式に僕が国王となります。

アンとの結婚ですが、、、やはり学園を卒業してからにしようと思います。

その際に正式にご挨拶をさせて下さい。」


アンが卒業するまで半年もない。

一緒にいられる日々の少なさに涙が出そうになる。

毎日アンに愛を捧げなければ!!!




アンに毎日ドレス、アクセサリー、花束などプレゼントを捧げる日々を送っていたある日。


「旦那様からお話しがあるそうです。」


オリバーに言われ、父の書斎へと向かった。

書斎へ入ると仕事中だったようで、父は書類に目を向けていた。


「お呼びでしょうか。」


「ああ、お前は王城へ行くことになった。

殿下の補佐として王城で働け。」


書類から視線を上げず、僕の人生を左右することを言い出した。


「王城!!??

殿下の補佐!!??」


「若い頃からおそばに居て、殿下と共に成長していく人材が欲しいそうだ。

お前が選ばれた。

拒否権はない。」


拒否権、、、ないのか、、、。


「フェイン家の事業はどうするのですか?

僕が跡を継ぐのだと思っていたのですが、、、。」


「俺が息子に跡を継がせると言ったか?

この仕事は俺が始めたことだ、俺の代で終わってもいい。

お前を婿養子に出すわけでもないし、フェイン家の名が消えるわけでもないだろう?」


確かにそうだ。

貿易の仕事を辞めたって僕が王城で殿下のおそばに居て、アンは王妃。

家が廃れることはないだろう。


「わかりました。

殿下の補佐として精一杯努めます。」


「明日から行くことになっているから、早めに用意しておけよ。」


「、、、明日、、、?」


僕とアンが共に過ごせる日々は、僕が思っているよりずっと短かった。


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