第74話 再会



「殿下、教会で治療を受けていた彼女の母親は今どこに?」


「大教会です。

司祭は適切な治療を受けさせていなかったので、保護しました。」


「オリバー、今から大教会へ向かう。

共に来るように。」


父はオリバーと、彼の母親かもしれないエミリーの母を会わせることにした。


「かしこまりました、旦那様。」


オリバーがどう思っているのかはわからなかったかが、父からの指示に断ることはなかった。




「我々はここで待つ。」


教会の外で父がオリバーに向かって言った。


「一緒に来て頂けないのですか?」


かしこまりました、はい、以外の父への返事をオリバーから初めて聞いた。


「、、、不安か?」


「少しだけ、、、。」


記憶のないオリバーにとって、母親と会うことは嬉しいことではないらしい。


「エドワードを連れて行くか?」


僕かーーーい!!!!!

父さんが一緒に行くのが一番オリバーが安心するのに!!!!!


「エドワード様、来て頂けますか?」


僕でいいんかーーーい!!!!!

正直行きたくない、気まずい。


「お兄様、私からもお願い致します。」


僕が何も答えず、狼狽えている姿を見てアンが必殺 お願い致します を使った。

効果は抜群だ。


「わかった。

行こう、オリバー。」


「ありがとうございます!!!

エドワード様!!!」


嬉しそうなオリバー、エミリー、エミリーを見張る騎士2人と共に教会の中へ進む。

アンが用意した、お見舞いの花束を持って。




「こちらの部屋です。」


隣国から来ているという仮の司祭様が案内してくださった。


「失礼します。」


ノックをして、部屋に入る。

部屋の中はベッド、テーブルと椅子、窓、チェストがあった。

六畳ほどの小さな部屋だった。

ベッドに金髪の女性が座っていた。

肩にはチェックのストールを掛けている。

父と同じくらいの年齢に見える。

僕らをじっと見ている。


「こんにちは?

あら!エミリー、来てくれたのね!

そちらの方々は?」


騎士二人は部屋の前で待機し、3人で部屋へと入った。

初対面の僕とオリバーを連れてきたことを不思議そうにしている。


「お母さん、元気そうでよかった!

こちらはフェイン伯爵家のエドワード様、聖女であるアン様のお兄様よ。」


「エドワード・リー・フェインと申します。

本日は突然のお見舞い、驚かせてしまって申し訳ございません。」


自己紹介をして、花束を渡した。


「お花を用意して頂き、ありがとうございます。

病で立ち上がることが出来ず、このままの姿勢でのご挨拶をお許しください。

エミリー、花瓶を借りてきてくれるかしら?

頂いたお花を飾りたいの。」


「わかったわ!」


エミリーが退室した。


「エミリーの母でルーナと申します。

娘がお世話になっております。」


穏やかな声で、少し話しただけで優しい人なのがわかった。

鼻が高く、目の色も同じでオリバーによく似ている。

病気で痩せてしまっているが、美人だ。

この人の若い頃はオリバーにそっくりだったんじゃないかなと思った。


「こっちは我が家の執事の、、、オリバーと申します。」


その名前を聞いた瞬間、ルーナさんの目が大きく見開いた。


「オリバー、、、!!!???

、、、ああ、ごめんなさい。

息子と同じお名前だったから驚いてしまいました。

それに、お顔も本当によく似ているから。

髪の毛の色が金だったら本当に息子と瓜二つだわ、、、。」


やはり、ルーナさんはオリバーの母親なのかもしれない。



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