第72話 反応



エミリーが泣き始めて30分ほど経った時に、アンが立ち上がった。

ソファーに腰掛け、涙を流すエミリーの隣に座りハンカチを渡す。


「こちらを使ってください。」


エミリーは驚いた顔をしていたが、ハンカチを受け取った。


「ありがとうございます、、、。」


アンのハンカチがエミリーの目から次々と溢れる涙を拭う。


「エドワード、彼女に紅茶を持ってくるようにと伝えてきてくれ。」


「わかりました。」


この場に屋敷の者は居ないので、僕が伝言役となった。




応接室を出て、オリバーを探す。

料理人たちと食材について話していたようで、キッチンに居た。


「オリバー!

父さんがエミリーに紅茶を出すように、と。」


「すぐにご用意します。」


そのままキッチンでお湯を沸かし、茶器を用意し始めた。

初めて用意する姿を見たが、こんなに手際が良いとは知らなかった。


「早いね。」


「旦那様からの指示にはすぐに応じたいので。」


僕を見てニコッとしながら返事をしてくれたが、すぐに用意に戻る。

さすがオリバー、旦那様命!!!な執事だ。

お嬢様命!!!のマリエルと似ている。


「準備が整いましたが、エドワード様も一緒に戻られますか?」


「ああ、そうするよ。」


オリバーと共に、再び応接室へと向かった。




「失礼致します。」


オリバーが扉をノックし、中に入る。


「紅茶をお持ちしました。」


「こちらのお嬢さんに淹れて差し上げてくれ。」


「かしこまりました。」


茶葉をポットに入れ、お湯を高い位置から注ぐ。

そのまま蓋をして蒸らす。


「こちら、お茶菓子になります。」


エミリー、殿下、僕たちの前にクッキーが置かれた。

その間に紅茶の蒸らし時間が終わり、カップに注がれた。


「どうぞ。」


オリバーが一人、一人にカップを配る。


「ありがとう。

下がっていいぞ、オリバー。」


父が声をかけると、オリバーと一緒にエミリーが反応した。


「、、、オリバー?」



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