第69話 処罰



「葬儀のすぐ後に申し訳ない。

本来ならば故人に想いを馳せる時間なのに、、、。」


父と僕が入室すると、すぐに殿下が謝ってくださった。


「お心遣いありがとうございます。

夕食後に家族で語り合う時間を取ろうと話していたので、お気遣いなく。

殿下が葬儀に参加されたこと、テオも誇りに思っているはずです。」


「ありがとうございます。

では、本題に入ります。」


殿下が険しいお顔をされた。


「この度の事件に関わった者たちの処罰が決まりましたので、ご報告させて頂きたい。」


あれだけの事件だ、重い処罰が下る。


「まずアダムス司祭ですが、教会が裁きを下すことになりました。

教皇のいらっしゃる、教皇庁へと身柄が移されます。

一生牢獄に入れられるか、、、殺人を犯しているので命で償う可能性もあります。」


テオが亡くなったことで、アダムス司祭は殺人犯となった。

最も重い刑になるだろう。


「ケビン助祭は現在行方不明なので、、、何とも言えません。

アンが竜に尋ねたところ、亡くなってはいないそうです。

毎日 死にたい と言いながら暮らしているらしいと聞いているそうなので、余程過酷な環境にいるのでしょう。」


死にたいほど辛い環境とは?

彼はどこに連れて行かれたのだろうか、、、。


「そして、エミリーですが、、、。」


司祭に騙されていたとは言え、アンに薬入りの飲み物を飲ませようとした。

飲んだのはマリエルだったが。


「国外追放ということになりそうです。

この国に置いておくことは出来ません。」


厳しい処罰だが、司祭や助祭よりも軽いもので少し安心した。

騙されていた彼女が同じ処罰だったら心苦しいと思っていた。


「昨日、彼女と少し話しました。

アンとエドワード様、マリエル、伯爵に謝罪がしたいそうです。

マリエルが起きられない今、この屋敷に出向くことになるので保留としてあります。

伯爵、エドワード様が受け入れるかご決断して頂けますか?」


父が考え込む。


「娘や、マリエル、屋敷の者たちの意見を聞いてからのお返事でもよろしいでしょうか?

私の一存ではなんとも、、、。

お前はどう思う?」


急に話を振られた。


「僕は謝罪をしたいと言うなら受け入れたい。

騙されて、人を傷つけて、自分も傷ついて、謝ることも許されないなんてあまりに救いがない。

彼女の生い立ちを知って、同情している面もあるけど、、、。謝罪する機会くらいは与えてほしいと思う。」


サラとしてエミリーと深く関わり、情が生まれていた。


「アンもそう言うだろうな、、、。

殿下、フェイン家は彼女の謝罪を受け入れたいと思います。

私、エドワード、アンが話を聞きましょう。

マリエルは本人の意思を尊重します。」


「ありがとうございます。

では、明日彼女を連れてまたこちらに伺います。」


あの事件以降初めて、僕たちはエミリーと会うことになった。


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