第43話 司祭の本性
「邪魔者には先に消えて頂こうと思いまして。」
そう言いながら司祭は短剣の血をハンカチで拭っていた。
「エドワード様、、、私のことはお気になさらず、お二人を連れてお逃げ下さい、、、。」
息も絶え絶えのテオが言う。
「逃がすわけがないでしょう?
あなた方のせいで私の人生は終わり。
この後国外に追放されるか、それとも一生を牢獄で終えるか、最悪死刑にされる可能性だってある。
だったら、あなた方を道連れに致しましょう。」
司祭の不敵な笑みに恐怖を感じた。
「そこの役立たず!!!お前もです!!!」
エミリーを短剣で指す。
「失敗してごめんなさい!!!
次は上手くやりますから、、、祈りの力で偽の聖女を倒してみせますわ!!!」
跪き、許しを貰おうとしている。
「祈りの力?はあ?
お前にそんな物があるわけないだろう?
偽の聖女はお前だよ、エミリー?」
エミリーが自分の力を信じていたことには驚いたが、やはり彼女は聖女ではなかったのか。
「私が、、、偽物????
そんなはずないわ!!!
今までたくさんの奇跡を起こしてきたし、手に聖女の証だってあるもの!!!」
司祭に向けて手の甲を見せる。
そこには聖女の証の痣がある。
「ああ、それか。
たまーーーに出てくるんだよ、聖女以外に痣を持つ子が。
共通点を教えてあげようね?
それは貧しく、知恵も権力も何も持っていない、可哀想な可哀想な子に出てくる痣だ!!!
教会ではなんて呼ばれているかも教えてあげようね?
それは聖女の証じゃない!!!
女神の情けって呼ばれる痣なんだよ!!!
お前は情けをかけられるのを嫌っていたね?
女神にまで情けをかけられているのに!!!」
司祭の大きな笑い声が教会に響く。
「馬鹿なエミリー!!!
何も知らずに、自分を聖女だと思い込んで!!!
奇跡???
そんなもんはこちらが手を回していたに決まってるだろう?
噴水には細工をした!!!
祈りを込めた特別な餌なら動物が寄る?込めなくても寄るんだよ!!!
熱を出した子どもには解熱剤を飲ませた!!!
お前の力で解決したことは何一つないんだ!!!」
司祭が全てを自白した。
「そんな、、、じゃあ、、、私は、、、。」
エミリーが項垂れる。
「お前はただの知恵のない役立たずだ!!!
せっかく王妃にしてやろうとしたのになあ!!!
殿下は全て気づいているよ?
このエドワードと、その父親がレオの母親に全てを語らせた!!!
もう王妃にはなれない!!!
お前も国外へ追放されるだろうなあ!!!」
エミリーにどんどん酷い言葉を浴びせる。
「司祭、それがあなたの本性だったのですね。
このことは全て陛下と殿下に報告させて頂きますからね!!!」
これ以上エミリーを傷つけたくない。
そう思って口を挟む。
「報告、ねえ?
出来るもんならやってみなさい?
お前たちがここから生きて出られるのならね!!!」
そう言って司祭は僕たちに短剣を向け、転がっているテオを跨ごうとする。
教会を出るには、司祭の背後のドアから出るしかないが、それは出来ない。
僕は咄嗟にアンとマリエルを守ろうと、抱き寄せた。
「ギャッ!!!!」
司祭が声を上げ、手を抑えた。
短剣が司祭の足元へ転がる。
「お逃げください!!!!!
エドワード様!!!アン様!!!」
テオが自身の剣で司祭の腕を斬りつけたのだ。
背中を刺され、満身創痍のテオが立ち上がり、司祭に立ち向かう。
「お兄様、こちらへ!!!」
アンが先ほどまで座っていたテーブルの下の床板をめくっている。
そこには階段が続いていた。
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