第2話 安堵の再会



オリバーと共にすぐに部屋を飛び出し、父の元へと向かう。

ほぼ同時にスタートしたが、徐々に距離が開いていく。

父への忠誠心が彼の足を早めるのだろう。


オリバーは僕と同じ18歳。

7歳の頃父に拾われ、この屋敷に来た。

幼少期は綺麗な金色の短髪だったが、このフェイン家の執事となった13歳からは黒に染めて長髪にしている。

長髪のほうが大人っぽく見えること、黒の方がより執事らしいからだと言っていた。

恩人である父のためなら何にだってなる、何だってするとよく言っている。


オリバーから遅れること数秒後、僕も父の寝室へとたどり着いた。

僕の寝室から父の寝室は同じ階でも端と端、走ると結構な距離があり、息が上がる。



「旦那様!どうされました!!!」


有能な執事は僕に声を掛けたよりも心配そうに声を掛け、ベッドに座った父の顔を覗き込む。

メイドが水をコップに注ぎ、父に手渡していた。


震える手で水を少しずつ飲む父の顔は真っ青で、今にも倒れそうだ。



ああ、父も同じ体験をしたんだ。

愛する妹を深く傷つけたこと、竜の炎を浴びたこと、そのまま絶命したこと。

全部全部夢じゃないのかもしれない。


思考を巡らせながら、僕は寝巻きと裸足のままでドアの前から動けなくなっていた。




「エドワード!!!アン!!!二人はどこに!!!二人は無事なのか!!!」


父が傍の執事の肩を両手で掴み、揺らす。

普段は体格が良く、威厳のある父が今は酷く怯えきって焦っているのが伝わる。


「エドワード様なら、こちらです。」


オリバーが父の手に優しく自身の手を添え、目線で僕の居場所を伝える。

そうすることで主人が落ち着くことを知っているようだった。


「エドワード、、、無事なのか、、、?」


父は今にも涙が溢れ落ちそうな目で僕を見つめ、ベッドから降りて少しずつ僕の元へ歩みを進める。

そばまで来ると、僕を抱きしめた。

肩にじんわりと温もりを感じ、父が涙を流していることがわかる。

体格差


「父さん、僕なら大丈夫だよ。」


僕も父を抱きしめ、二人でお互いの無事を確かめた。

しばらくそうしていると、背後のドアから聞き慣れた声がした。



「お父様?お兄様?どうされたの?」


そこに居たのは僕の最愛の妹、アンだった。



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