トキ傳 壮途の儀

作者 天宮さくら

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★★★ Excellent!!!

これは成長のものがたり
そして旅立ちのものがたり

ここではないどこか
いまではないいつか
建国の神話が、確かにあった歴史として息づいている世界で
ひとりの青年が道を見つけるものがたりです。

鮮やかに切り取られる風景は、平地を越え川を渡り、山裾の館を訪ねと旅情にあふれ、
ひとを描けば、喜怒哀楽から人となり、家人との関係に趣味嗜好と信条までが登場する人物の数だけ、いや水面下で支える名もなきモブまでもがきっと。

その手に取れるようなリアルさに驚嘆しながらページを繰れば(イメージです)、トキと呼ばれる人物の去就を巡る不可解な事象が、一枚また一枚とベールを剥がすように明らかになっていきます。

大河の風格を宿すこの作品がみせてくれるのは、先の見えない切迫感、ナゾがほどけていく解放感、胸のすくような断罪のとき、別れの切なさと希望の旅立ち。

ものがたりのすべてがここにあります。

★★★ Excellent!!!

トキと呼ばれる謎の存在を巡り、宮中の意見が割れる。解決に奔走するのは、なんと、皇帝の天元だ。だか、若い天元には自信がない。家臣共も、口を開けばやれ、国の為だ、民の為だと宣わる。
これはファンタジーとしては、とても異色な作品である。
古代の日本や中国を思わせる世界観に、緻密な感情表現。文章も至極丁寧で、独特の品性が備わっている。
縦読みを推奨したいファンタジーである!