第11話 お家でデート
今日は、星世と午後から自分の家で遊ぶことになっている。ちなみに家族は遅くまで帰ってこない。
午後会う約束だが、お昼を星世が作ってくれると言うので買い物を一緒にすることになり、少し早めに星世の家に迎えに来た。
家で待っていてもいいのだが、この前の放課後デートの時、公園で会う機会が少なくなった分だけ有った時は濃くしようと二人で約束した。
だからと言う訳でもないが、少しでも星世と一緒に居たいので迎えに来た。
スマホが震えた。画面を見ると隼人からだ。直ぐにスマホをオンにすると
『星世、家の前に居るよ』
『はーい。すぐ行く』
自分の部屋に居た私が、ドアを開けると丁度お姉さんも自分の部屋のドアを開けた所だった。
「星世お出かけ」
「うん、少し遅くなるかも」
「そう、隼人君と一緒」
「もちろん」
「ふふっ、すっかり恋人同士ね」
「まあね」
彼がいる事を隠しもしない妹に微笑みながら
「最近、隼人君背が伸びたわよね。いくつ位あるの」
「うーん、百八十センチ超えたとか言っていた」
「イケメンで、身長高くて、優しくて、めちゃモテるんじゃない」
「さあ、知らない。学校違うし。でも隼人は私しか見ないから」
「あらら、ご馳走様」
お姉さんとの会話もそこそこに支度をして、階段を下り玄関に向かおうとした時、
「星世、待ちなさい」
「なに」
「そんなに慌てても仕方ないでしょ。隼人君に上がって貰ったら」
一瞬で、お母さんの考えている事を理解すると
「え、いいよ。今日は用事あるし。今度にする」
「そう、お母さん、隼人君とお話したかったんだけどな」
自分の母親をジト目で見ながら
「お母さん。隼人の事はまたね。じゃあ行ってきまーす」
急いで靴を履き、玄関を出る娘を見送ろうとすると、娘の彼が玄関先に立って待っていた。
「隼人お待たせ」
「うん、待ってないよ」
彼の視線が私の背中後ろに行っている。振り返るとお母さんが、玄関を出て立っていた。
「隼人君。こんにちは」
「こんにちわ」
「隼人君。もうお義母さんと呼んでもいいのよ」
「えっ」
顔を赤くして下を向く隼人を横目にして
「お母さん。何を言っているんですか。隼人は私の彼です。まだ」
「はいはい、行ってらっしゃい。隼人君、娘を宜しくね」
「はい、分かりました」
「行こ、隼人」
少し歩いた後、
「ごめん隼人。お母さんの事気にしないで。うちはお姉さんと私の女二人姉妹でしょう。だから隼人を見ると勘違いしてしまうみたいで。私は良いのだけど」
最後の方が聞き取れなかったが、
「うん、そうかあ。でもまだなあ、俺達高校一年だしね。もう少しこのままで良いかな」
「えっ、それって……。どういう意味」
「いや、そんなに深い意味はないよ。お母さんの言っている意味も何となく想像つくけど、星世ともう少しの間、思い切り自由に遊びたいなと思ってさ。今から拘束されるの嫌だろ。星世も」
「私は良いけど」
「えっ。そ、そうか」
ちらりと横目で星世を見ると顔を赤くして下を向いていた。俺もさすがに恥ずかしい。
「ねえ、ところでどう私の洋服」
淡いブルーの半そでブラウスに紺のカーデガン。スカートは短めのスリットの入った茶と紺のチェック柄。紺のハイソックスを履いて、靴はブランドの白い運動靴。手には、小物いれのポーチ。腰近くまで伸びた髪が綺麗にカットされている。全体的に爽やかな印象を与えている。
「うん、とってもいいよ。爽やかな感じで好きだよ」
「そうか。良かった」
「今日のお昼はオムライスを作るね。結構腕には、自信あるんだ」
「期待している」
俺達は、家の近くのスーパーに入って、必要な食材を購入した。
「卵とかあるよ」
「何を言っているの。隼人の家の食材を使う訳には行かないわ。調味料は使わせて貰うけど。隼人の彼女は、勝手にキッチンに上り込んで、卵や野菜を勝手に使う世間知らずなんて思われたら、今度から隼人の家に行けなくなってしまう」
「そこまで考えなくて」
「だめ。その辺って女性はうるさいのよ。口では言わないかもしれないけど」
「そうなのか」
でも、うちの姉貴とか想像するとそうかもな。母親はそうは思わないけど。
二人で必要な食材を籠に入れて、精算はとりあえず俺がした。後で折半と星世は言ったが、作って貰う立場からすると全部持つのが常識だろう。
星世の家から俺の家まで歩いて二十分位だが、買い物をする為スーパーに寄ったので四十分近くかかった。
少し早めに星世の家に行ったので、時間はまだ、十一時半。両親はいないが、姉貴がまだいるはず。玄関を開けて
「ただいま」
「………」
「あれ、もう誰もいない。まあいいや。星世上って」
「うん。おじゃまします」
「………」
誰もいなそうなので、スーパーで買い物した袋をキッチンに運んだ後、手を洗い、僕の部屋に行った。お昼には少し早い。
二人で部屋に入り、ドアを閉めると星世が僕の手を掴んだ。そして上目遣いに僕の顔をじっと見る。
「隼人。会っている時は、濃い目でね」
そう言って目を瞑った。
…………。
この季節になると、昼間、窓を開けていないと結構暑い。
「ふふっ、オムライス作って、隼人に食べさせる前に隼人に食べられちゃった♡」
僕は、人差し指でおでこを軽く突いて
「誘ったのは星世の方と思ううだけど」
「誘われたって、食べた事実は変わりません。ふふっ、嬉しいよ。隼人。こうしていると心が落ち着くの」
そう言って、体をさらに密着して来た。星世の洋服の上からでは分からない、大きな柔らかい部分が思い切り押し付けられる。
「キュー」
「あっ、ごめん」
また少しの間そうしていると、俺のお腹が鳴ってしまった。机の上に有る時計を見ると
「あっ、もう午後一時近いよ」
「えっ、そんなに経ったの。昼食作らないと」
星世は急いで洋服を着るとあっという間に一階に降りて行った。
「はあ、まあいいか。でも星世が俺のお嫁さん。うーん、俺医者になれるほど頭良くないし。まあ、先の事だから」
ベッドを元に戻して、一階に降りていくとキッチンで星世が、調理をしていた。何度も我が家に来ているので、キッチンの状況は分かっているみたいだ。
二十分程でオムライスと野菜サラダを作り上げた星世は
「隼人、テーブルの用意して」
「分かった」
俺は、テーブルをサッと拭くとスプーンとお箸それに冷たい水の入ったコップを用意した。星世の作ってくれたオムライスと野菜サラダが並ぶ。
「いただきまーす」
「召し上がれ」
俺は、オムライスの真ん中をさっとスプーンで突くとサーっと両脇に卵の黄身が別れた。
「おーっ、凄い。美味そう」
スプーンで一口食べて良く噛む。
「うまーい。星世美味しいよ」
「ふふっ、そう。嬉しいな」
星世もオムライスに手を付けた。
とても美味しい昼食を食べた後、俺が片付けようとすると
「私やるからいいよ」
「いや、作って貰ったんだから俺が洗うよ」
「じゃあ、二人で」
結局、二人で片づけをして部屋に戻った。部屋を出る時窓を開けて有ったので大分涼しくなっている。
「隼人、どうしようか」
「ビデオ見ない。この前録画したスペースオペラ物が有るんだ」
「いいよ。隼人スペースオペラ好きだよね」
「うん、夢が有るからな」
俺は、テレビをオンにしてビデオをオンにすると床に座った。
足を広げる様に座っていると星世が、その間に入って来る。最近定番の形になった。
二時間物のビデオも終わると午後四時になっている。まだ陽は高い。
星世が俺に寄りかかるようにして、俺の手を自分の手で掴んで星世のお腹に持ってきた。
「隼人、お腹も大分消化したよ」
「そうだね」
星世が俺の手を持ったまま、上にあげて来る。そして少し体をねじって目を瞑った。
…………。
「隼人、ずっとそばに居たい」
「いるよ。ずっと」
「ずっと、ずっとだよ」
「うん、俺は星世の側を離れないさ。今は学校違うけど」
「私やっぱり隼人の高校に転入しようかな。成績は問題ないし」
「それは駄目。ご両親が悲しむよ。それにそれを話したら、ご両親から見たら俺は、星世にとって悪い人間になってしまう」
「分かるけど」
「我慢しよう。高校卒業すれば二人共十八才だよ。君の両親は反対しないさ。俺の両親もね」
「うん、分かった。もう少しこうして居たい」
「いいよ」
結局、星世を家に送った時、午後七時を過ぎていた。遅くなったことを星世のお母さんに謝ったけど、なぜかニコニコしていた。
明日は日曜日、朝から星世とデートになった。
―――――
そう、俺も星世もこの時は、ずっと側に居ると思っていた。
次回をお楽しみに。
面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。
感想や、誤字脱字のご指摘待っています。
宜しくお願いします。
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