第94話狙撃犯探しのメンバー




我が家のリビングで、テレビを付けたままウトウトとしている。

それを邪魔するように、玄関先から大声で俺の名を連呼する者がいた。

何事だと、意識がハッキリして来て、あれは隊長の部下の声だと思い出す。


仕方なく玄関に出ると、


「隊長がお呼びだ。来てくれ」


「俺、疲れているのでダメですよ」


「君も知っているだろ。総理大臣を狙撃した犯人探しをして欲しい」


「俺だけに頼むのですか?」


「君だけでなく、数名で協力して探して欲しい」


俺は、俺以外の支援スキル持ちに興味を抱いた。

今後の為に会っても損はしないだろう。


「少し待って下さい。準備をするので」


俺は風呂場へ行き、スラを筆頭に始や仁助らを集めて言いはなった。


「今から犯人探しする。念の為に来てくれ」


『犯人をさがすの、わるい奴だ』


『わ・かった』


始が覚えだした言葉をようやく話した。

仁助らも、後少しレベル上げが必要のようだ。


「カードへ戻すぞ」


『OK』


カードを収納して玄関へゆくと、き立てられるように連れて行かれた。

いつものパターンで大型ヘリ乗せられて出発。


ヘリ内の話では、総理大臣は右肩を撃たれたらしく、病院で安静にしているらしい。

ジバの組織の情報だと、犯人は100発100中と言われた男だと断定。


俺は外したから、その名も変えろよと思った。

その男も支援スキル持ちでないかと噂されている。

正体も不明で顔も分かっていない。名だけが有名で要人殺しのプロらしい。

その男、狙った獲物はどんな手段でも使って殺すらしい。



ヘリが着地したのは、東京のビルのヘリポートだった。

そして案内された部屋には、先客が3人も居た。


誰も話し掛けて来ない。案内人は何も言わずに去ってしまっている。

重い沈黙が部屋を漂っていた。

1人は部屋の中なのにサングラスを掛けた30代の男性。

もう1人は、ほっそりとした美人な25歳ぐらいの女性。

残りの男性は、40代のセンスのあるスーツ姿。

身のこなしも優雅で、部屋中を歩き回り何かを探していた。


急にドアが開き、50代の男性が入ってきた。


「自己紹介は済んだかな?」


「・・・」


「なんだ、まだなのか?」


誰も言葉を発しないし、探るように見ていた。


小林進こばやしすすむから挨拶だ」


サングラスを掛けた男だ。


「小林だ、サイコメトリーのスーなら知っているだろう」


俺は知らないので聞いてみた。


「サイコメトリーって何?」


「知らないって、そんな奴も居たのか?物に残る人の残留思念を読み取ることが出来る。物さえあれば、その人物を特定して居場所までつきとめられる能力だよ」


「へーー、それは便利だ」


「次は南雲勇なぐもゆう


「久し振りにその名を聞くな。俺は匂いが可視化できる。物さえあれば追跡出来る能力だ」


赤城奈菜あかぎなな


「わたしは、強化支援よ。自分自身に掛けて犯人逮捕が専門よ。格闘なら誰にも負けない自信はあるわ」


青柳誠あおやぎまこと


「能力を言わないとダメですか?」


「協力して犯人逮捕する為には必要だと、私は思うな」


ここの偉い人なのか?仕方ない1つの能力を言っておこう。


「催眠です。自白も引き出せますよ」


「それは支援スキルなのか?」


「そうですよ。魔物もこれで動けなくして倒してます」


本当はしてないが、こう言っておけばはくが付くだろう。

そして偉い人の話だと、狙撃した位置も特定出来ない状況で、警察もジバもお手上げ状態らしい。

その為に急遽きゅうきょ、俺達が呼ばれたらしい。

一人1億円が報酬で、犯人から有益な情報が聞き出せれば、更にボーナス支給があるらしい。



手掛かりは、狙撃された場所と弾丸しかなく、南雲がビニールに入った弾丸を受取った。

この中で年上だからリーダーを気取っているのだろう。


「撃たれた現場へ案内してくれ」


又もヘリによる移動であった。それだけ急いで事件解決をしたい行動であった。

日本政府の威信と、ギルドのジバの存在意義をみせたいのだろう。


この騒動で株価が下がったと、小林が言っていて大損したとぼやいていた。

小林の考えは分かっていた。早く事件を解決して株価を元に戻したい。

そうしないと、ローンの返済が出来なくなり大変なことになるらしい。



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