第82話素早さの実




今日は多々良支部へ来ている。

最近、多々良支部で機械に読ませて、ダンジョンに入っていないので怪しまれるっと思っての行動だった。


しかし全然知らない十代の冒険者が列を作って、機械に冒険者カードを読ませている。

俺の後ろには、30代の男女の混合のパーティーいる。

それも早朝6時の時間帯に、これ程の人が居るとは思ってもいなかった。


ここも24時間制になって久しい。

山田さん一家は、そのまま委託を依頼されて、ギルドに紹介された人を雇っている。

隣の家も改築中でここと繋げる予定らしい。


受付には知らない男性が座って処理をしている。歳は28ぐらいに見える。



俺の知らない間に、どれだけの村民が増えたのだろうか?


1階のフロアでは数人が、ダンジョン酔いを起こして座り込んでいる。

その横を通り過ぎて、人目も付かない所へ急いで移動。

久しぶりのスライムとの戦いも、遠い昔の出来事のように感じてしまう。

そしてようやく人目も付かない所までやってきた。


ここでダンジョンワープを表示して、誠黒ダンジョンの3階へ一気にワープ。




メタルフライングフィッシュをようやく全滅させて、回収されたメタルⅢカードを数えていた。

前回の分を合わせ13枚になったが、カードのランクアップは無かった。


やはりあれは10階層までの特典だったのだろうか?


湖面を注意していた従魔が『親分、あの龍は出てこないね』


今回ははずれだったか?それとも2度と出てこないのか?




エランドの群れとメタルボディの巨象の群れに、挟まれるかたちになってしまった。

既に戦いは始まり乱戦になってしまった。


俺は空へと駆け上がり、空中から【炎のブレス】を手からを放出して、巨象を溶かして討伐してゆく。

エランドと巨象は協力し合って従魔に襲い、返り討ちにあっている。


アイとグフも今は必死に空中から攻撃を仕掛けて倒しているが、俺はスラや始の姿を見失っている。

巨象が消化されているのを見て、戦っているのは分かるが、こうも乱戦だとすぐに姿を見失う。


スラや始には、俺の魔物探知も機能しない。

巨象を倒しながら、スラや始を探している。

スラと同等の能力を持った魔物に備えての訓練で、探知系のパワーアップ試みている。


1時間後にはようやく戦いも終わり、カードの回収を始めた。

従魔は魔石を食らうのに夢中で、カードより魔石しか見ていない。


メタルⅡカード6枚とメタルⅤカード10枚が、ドロップしたカード枚数だった。



急に危険探知が警告してくる。


俺はその方向に雷撃野太刀で横一文字に斬って、雷撃を広範囲に放った。

そいつに雷撃がまとわり付き、動きが鈍くなったのだろう。


チーターが襲ってきた。

俺は倒れながらかわして、雷撃野太刀を腹に突き刺した。

チーターの腹は裂けて内臓がこぼれ落ちた。

数歩をよろめきながら歩き、その場に倒れた。


「まだ仲間が居る筈だ。皆、気を付けろ」


『分かったよ、親分』


アイが光線を連続で放っている。そこに居るのか?

土煙に混じって、動く者が見えた。それも一瞬だ。


もう1度、雷撃野太刀で横一文字に斬って、雷撃を広範囲に放った。

あらわれたチーターに従魔らの攻撃が集中して、体が飛散して跡形も無くなってしまった。


又もアイが見つけ光線を連続で放っている。

でかい眼だけあって見つけるのが早い。


同じように雷撃野太刀で横一文字に斬って、雷撃を広範囲に放った。

こいつにはこのパターンが必勝パターンかも知れない。

なおも警戒したが、あれが最後だったみたいだ。


仁助がカードを2枚も体に載せてやってきた。


「偉いぞ、仁助」


俺が倒したチーターの魔石を上げると、嬉しそうに体内で消化している。

プワンと体が淡く光っている。レベルアップしたらしい。


カードを見た。2枚とも素早さの実カードだった。


素早さの実


AGI+10


1枚を念じると体中に駆け巡る素早さの効果。

ステータスのAGIに+10が増えていた。


もう1枚も自分自身に試したがダメだった。

めざといグフは、俺の傍らに寄ってきて、頭部を上下にさせてくれくれアピールをしてきた。

グフは風系なので良いかも知れない。

カードをかざして念じると、体が淡く光っている。


『親分、ありがとう。風の刃Ⅱが風の刃Ⅲにつよくなったよ』


成る程、カードでもこんな効果もあったのか?

首部分を撫でてやる。


『もっと右上』とグフは撫でる部位まで言いってくる。



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