第78話メタルⅣ




従魔らを引き連れて誠黒ダンジョンへやって来た。

メタル系の魔物を倒しつつ湖に到着。

又も凄い勢いで飛んでくるが、アイの光線で打ち落とされてゆく。

ツタの槍攻撃も健在で、突き刺す速さも磨きが掛かってきた。


メタルフライングフィッシュ1体を5匹のスライムが同時に飛び付きじわじわと消化してゆく。

スライムらにようやく名が付けられた。

はじめ仁助にすけ三郎さぶろう四郎しろう五郎ごろうであった。

従魔らの反対を受けたのに、スラは一歩も譲らず結局はこの名に決まってしまった。


スラもアイと同様に時代劇も好きだったし、戦争物も好きだった。

そんな影響が名にあらわれている。俺も古い名だと思う。


最初はスライムを見分けられるか心配だったが、名が付くと不思議に見分けられるので驚いた。


始がメタルⅢカードを体に載せてやって来た。


「えらいぞ、始」


ようやく湖のメタルフライングフィッシュを倒し切って、メタルⅢカードが18枚もドロップして手に入れた。

会社も立ち上がったので、今後は次回の復活後に又ここへ来ないといけないだろう。


『親分、今回も大勢が襲ってきたね』


「懲りない奴らだな」


突然に湖の水面が泡立ち、中央から龍が躍り出てきた。

間違いなく昔から描かれた龍の姿だった。


空中に浮かんだ状態で、こっちを凄い眼光で睨んでいる。

口から炎を吹き出してきた。

俺は俊敏に炎から逃れたが。始や仁助の5匹が取り残された。

俺は俊足で龍の胴体の横に現れて、雷撃野太刀を大きく振り被り気力を込めて斬った。

雷撃が龍の体を貫き深手を負わせた。耐え抜いた始や仁助の5匹は湖に避難。

湖から蒸気が発生して、相当の熱さだったのだろう。


アイの光線が右前足の付け根に命中。

握っていた黄金の玉を落とした。必死にその玉を追う龍にグフの風の刃やキーの雷撃が襲う。

その攻撃で空中でのたうち回る。

そのスキに地面に落ちた黄金の玉に、リップとツタが剣を斬り付け槍を突き刺した。

玉は光りを放ち消えて無くなると、空中の龍の動きが止まり落ちてきた。

ピクリとしない。どうやら討伐が出来たようだ。


俺が龍の考えを読み取って、念話で伝えた作戦が大成功した。

龍は戦いながら不自然な動きが目立った。

黄金の玉をかばう動きで、精神把握を試みたのが良かった。

魔物でも充分に使えるスキルで、今後もっと活躍するだろう。


『親分、カードだよ2枚もあったよ』


スラから受取って見た。


炎魔法


火魔法の上位魔法


・  ・  ・  ・  ・


疾風のブーツ  


空を自由に駆け回れる


AGI+10



炎魔法カードを念じて使用。一気に体を駆け巡る気力に炎魔法が目覚めた。

【炎のブレス】【炎防】【炎乱】などの魔法があった。

従来の火魔法より強力な魔法である事が分かった。


疾風のブーツを念じて具現化してみたら、紅いウロコ模様のブーツで履いてみた。

ぶかぶかなブーツかと思ったが、急に縮み良いサイズのブーツになっている。

中々履き心地が良い。試しにジャンプすると地面を蹴るように空中でも駆け回れる。

地面に下りたいと思えば、急に足場が無くなり1メートル下へ落下。

使いこなすには、少々時間が掛かるかも知れない。


避難していた始と仁助らがもぞもぞと戻ってきた。


「大丈夫だったか?」


ぷるるんぷるるんと5匹で振れえて大丈夫と答えている。

まだまだ念話での命令出来る段階でしかなっていない。

もうしばらく時間が必要で、話が出来ればいいなと思う。



新たな魔物があらわれた。

メタルボディの人型でリップの剣を盾で受止めて、持っている剣で反撃している。

しかし手数の多いリップに、真っ二つにされて倒された。


後方に居る人型から火球が放たれた。

グフが障壁で防いで突風で天高く浮かせて風の刃で切り刻んだ。


接近戦タイプと遠距離タイプの人型であったが、100体近くあった数を減らしている。


手足を消化されて、反撃の出来ない人型の頭に跳び付き、仕留めたのは四郎であった。


メタルⅣ


硬く軽いマナを蓄えた金属


メタルⅣカードを合計7枚もドロップさせた。

俺はインゴットを手に持って、あれこれ妄想にふけっていた。


『親分、大丈夫か?』


足元のピーが話しかけてきた。

体をなでながら「大丈夫だ」と自分自身に言い聞かせた。



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