『ご紹介』


 『おばさんは、わかっちゃうんですか?』


 ぼくは、ちょっと、身構えて、恐る恐る尋ねました。


 『ほほほほほお、すべて、お見通しだ。あたしは、実は、高等魔女学院を出て、それからロンドン超常大学に行ったから。』


 『あらまあ、すると、あのマンションにいる、ゆうれい探偵さんも、ごぞんじ?』


 『ダジャレーさんでしょ。まあ、あのかたは、邪悪な存在だけど、地球では無茶苦茶できない理由があるから、まじめにやってるわ。となりの、ミス・テリーは、お友達よ。』


 『まあ、あのかたが、お目付け役ですね。』


 『あなたも、ご存知?』


 『去年、町内会の役員でしたし、ちょっとした、派手な事件に、巻き込まれまして。』


 『ああ、なんか、あの山の上のお屋敷の地下に、核弾頭があったとかなかったとか。巻き込まれた、可愛そうなおじいさんて、あなたのことなのか。』


 『まあ、そうなんです。そのお話は、いくらか脚色して、《エブリ⚪⚪》に、出しましたが。』


 『あらそう。あたくし、そういう方向は、うっとおしいから、見ませんの。あ、で、あれは、やはり、ゆうれいさん?』


 『まあ、確認はできませんが、ゆうれいさんです。しかも、もと、カリスママッサージ師さまです。』


 『まあ。効くかしら?』


 『効きます、確かに。』


 『じゃあ、紹介してください。』


 あらま。ぐっと、構えた割には、有名な怪談や、落語とは、違う方向に進みました。


 怪談だと、『このままでは、呪い殺されるぞ。お札を張りなさい』、とかになります。


 落語のほうが、むしろ、かなり近い感じ。


 こちらのおばさんは、旦那さんを病気でなくし、今は独り暮らしです。


 ダイジョブかしら。


 まあ、ジョージさんは、プロだしな。


 『料金は、おいくら?』


 『毎回、お線香、一本なんですが、皆同じかどうかは、わならない。』


 『ほほほほほお。わかった。こんど、紹介してください。来てくださる日にちがわかれば、用意しますから。』


 『まあ、引き受けてくれるかどうかは、わからないですが、仕事はしたいらしいです。』


 『そうでしょう。そうでしょうとも。』



      …………………… 👻



 そうした、話をしたあと、ぼくは、心配になりました。


 あの、ミス・テリーは、ゆうれい退治の専門家ですから、そこと、つながりがあるとなると、やはり、なんだか、嵐の予感がします。


 まず、幸子さんに、訊いたほうがよいかな。


 でも、幸子さんの営業時間も、夜中なので、大分間が空きますが。


 今夜は、ジョージさん、来ないし。



  ・・・・・・・・・👍《 ・・・

   


           まだ、続きます

 


 

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『ゆうれいマッサージ』 2 やましん(テンパー) @yamashin-2

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