絡まる因果
どうもヤマタツです。ここで問題です。
・過去から来たのかもしれない
・写真に写らない
以上のような条件を持っているかもしれない人を否定する材料はなんでしょう。
ズバリ『過去の写真』です。
過去の姿があれば、そもそもご両親との思い出があれば1つ目は否定でき。子供の写真を取らない親はいない(ヤマさん曰く)可愛すぎるから。なので会社の上司のフリをしてアカリさんの実家にお邪魔してます。
「これバレたら詐欺だと思われますよね。」
「アカリさんへのサプライズだから言わないでとは言ってあるから大丈夫よ。」
タツはとても不安であった。
俺はファミレスで追いつけない状況にいた。サチが佐藤のことを知っている。教授?
「佐藤教授は面白い研究しててたまに講演会開いてくれててサチファンなんだよ!」
「あー思い出した。サチさんだ。シャチで覚えてくださいって言ってたの覚えてるっす」
仲良さそうにする2人に困惑していた。
佐藤と五十嵐は知り合いで。
五十嵐とアカリが知り合いかもしれなくて。
五十嵐とサチもグルかもしれなくて。
サチと佐藤は顔見知りだ。
「あれ?あなたこの間お会いしましたよね。」
「永瀬さん!」
「あーそう!それそれ。」
佐藤と五十嵐の素晴らしいチームプレイにより見事に佐藤は俺の名前を思い出し。サチには会ったことがあるのがバレた。おまけに五十嵐にもここにいるのがバレたみたいだ。
「佐藤先生と知り合いだったの?なんで教えてくれなの。」
怒っている、というよりは羨ましそうだ。かなりのファンなのだろう。
「それにしてもなんの集まりですか?」
「いやーあたしはたまたま今来ただけで」
五十嵐の問いに佐藤が答える。この2人で会う予定じゃないのか。そこに一人の男性が現れる。誠実そうな人だ。その人が何かに気づいたのか、手を上げる。それに1番に反応したのはサチだった。「あ。」という声と共に明らかに見た事のある反応だった。それだけで全てが理解出来るわけがない。でもこの時の俺の脳はフル回転していた。色んな繋がりや仕草なんかを見て全てが分かった気になった。そして何かを察した俺は思わずその場を後にした。
俺は駆け出した。訳も分からず。雨が痛い。多分何かいろいろと勘違いしてるのは自分でも分かってる。走って走って走ったら。雨で溺れてしまうかもしれない。気づくと店の前まで来ていた。
ドアを開けるとびしょ濡れの俺を見てキョトンとしてる2人がいる。2人にタオルを借り、コーヒーを口に入れる。癒される。
「どったの?」
「今日雨とか聞いてないし。」
なんだよそれと茶化すタツに対して、ヤマさんは何かを悟った目をしていた。
「それより聞いてくれよ!」
どうやら、あっちでは何か手がかりを見つけたみたいだ。
「アカリの昔の写真があった?」
「そうなんだよ!普通にアルバムとかに昔の写真とかあって。ってことは昔は写真に写ってたってことだし。最近も会ってたみたいだから過去からきた説もちげーな!」
「でも今写真に写らないってのは解決しねーな。」
「ぐぁ。それはそーだけども。大体なんだよそれ。オバケかよ、オカルトかよ。あー」
タツもやっと見つけた手がかりでも真実になたどり着けずがっくりだ。アカリに聞くのが一番早いのだろう。この謎の先に待つのはなんなのだろうか。
急に雨の音が大きくなった。
「誰かタオル持ってきて」
やべ、サチだ。
「俺いないことにしといて。」
「なんで?」
「いいから」
サチは案の定、俺のことを探したが2人はいないことにしてくれた。
「タクとなんかあった?」
「多分あの人を見たからだと思う」
あの人?2人はもちろん俺も思った。五十嵐が会う予定だったやつか?俺あんな人知らないけど。
「あの人って誰?」
「ほら。アカリさんの浮気相手もどき?たっくんが最初騒いでた時にいた人。」
忘れてた。透明人間騒ぎできっかけのその事件なんて頭の隅だった。
「あの人見て急に思い出したんだろうね。にしても急に出ていってさ!サチその場収めるの大変だったんだから。」
違う。思い出したのは今です。それに
俺が逃げたのは
「まあタクちゃんはそんなことで逃げたりなんかしないよ。ただ怖くなったんだろう。真実を知るのが。」
雨の音が大きくなった。誰も来てないし、ドアも開いてない。自分でも分からなかった気持ちをヤマさんに当てられた。雨の音は外のじゃない。俺の心に降っていた雨だ。懺悔の雨。みんなを、アカリを信じることが出来なかった自分への。
俺はその時3人に全てを話した。今まであったこと、思ったこと。親友を疑ったこと。
「せいっ」頭にチョップ
「とぉ」腹に膝蹴り
「これで許してやらなくもない。」
こいつらでよかった。
「ったく。あとはアカリだな。」
「その前にあるくない?サチの疑い晴れたんでしょ?ってことはサチの見たものはホント。五十嵐さんはアカリさんと会ってたんだよ。」
まずは五十嵐か。
雲は流れる。止まっているように見えて少しずつ。中高生の頃、よく外を眺めては雲と空に目印をつけていた。だから雲が動くのは見ることが出来る。でも形が変わるのは見つけられなかった。雲をずっと追いかけて形が変わったかと思えば元の形なんて覚えてない。時はすぐに流れて消えゆく。だから思い出は形に残さなければ。久々にアルバムを手に取った。高校のものは今とあまり代わり映えない。いやちょっと太ったか?色んなことがあった。そして中学はもっと色んなことがあった。アルバムには皆の寄せ書きがある。
『野球選手になれよ』
寄せ書きだけじゃない。いっぱい言われた。
でも1番言ってくれたのは父さんだ。そしてこうも言われた。
『自分に嘘はつくな』
嘘はついてもいい。でも自分にはつくな。無理な時は諦めてもいい。やり切った振りをするより1回諦めてそこからやり直してもいい。
この言葉で俺は野球選手になろうと。頑張ろうと。そう思っていた。
雲はそれでも流れ続ける。
いつだって少しずつ。
空は青く雲は白い。
姉ちゃん元気かな
to be continued
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