エピローグ

 一人になって、俺は余韻に浸っていた。


 誇らしかった。

 こういうふうにたくさんの人から感謝されるのは初めてで、こんな俺でもできることがあったんだと胸がいっぱいになった。


 この先のことに思いを馳せる。

 ギルドマスターから話があるとか、そういうことがあるらしい。

 知らない人が病室に来て追い返してもらったりもした。


 きっとこれから、面倒なことが起こる。


 そうだ、俺は、【夜蜻蛉ナキリベラ】に正式に入団することになっているんだっけか。

 それなら大丈夫かな、手続きとかも、カミラさんみたいな強力な後ろ盾がついてくれていれば楽だ。

 人もたくさんいるから、いろいろやってくれるだろう。


 そう、人がたくさんいるのだ。

 それはさっき俺に感謝してくれた人たち。

 恭しくお礼を言ってくれた、あの人たち。



 でも──



 そこで思考を止めた。


 ダメだろ。そういうことは、思っちゃいけない。

 せっかくの好意なんだし。


 胸がざわついて仕方がない。

 漏れ出かけた本音を隠せない。


 いやこんなの本音じゃない。俺はこんなこと思っちゃいない。


 息を吐いて、布団を被った。

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