第三回反省会
《異界》
「…………」
「…………」
魔王を倒した、ハーレムも堪能した。
満点の異世界転生だった。
しかしいつものように俺は神様に何か言われる前に正座している。
「……手、出さなかったでシね」
「……はい」
「はい、じゃないでシが」
そしていつもの。
だがそこで俺の中に溜まっていた感情が爆発した!
「だって! だってぇ! まさかケモノっ娘だとは思わなかったんですもん!」
そう、魔王ネメアの姿が普通だったように、あの世界では全員がケモノ系だったのだ。
「いや俺だってケモノっ娘もイケますよ? だけど受け入れられる比率ってのがあるんですよ! ヒト:ケモノが5:5なら喜んで子作り万歳してましたよ? だけど3:7は無理ですって!!」
そう、ネットの海よく見かけるケモノっ娘は概ね尻尾や耳だけが動物のものばかりだ。
だがあの世界のケモノっ娘は耳も尻尾も外側も顔もしっかりケモノなのだ。
「う~ん、こちらの見立てではお前ならイケルと思うでシが」
「ああ! いこうと思えばいけたよ! だけどあの見た目は教育テレビ的なアレなんだよ! アレに手を出したら人として踏み外しちゃいけないものを踏み外しちゃうんだよ!!」
「人としての一生を終わらせたやつが言うと面白いでシね」
ちなみに魔王ネメアを倒したあとは一日じっくり遊んだりモフモフしたりナデナデを堪能してから一人離れて死んだ。
あの憩いのおかげであと数回は異世界転生できる元気を補充できた。
「お前は本当に難儀なやつでシねぇ」
「そんなやつをどうしてあの世界に誰が送った」
まぁ人によってはパライソだったかもしれないが、俺には無理だったという話だ。
「まぁ無理やりやる背徳感というスパイスがあるかもしれないでシけど、デスソースみたいなスパイスはこちらもノーセンキューだから許すでシ」
よかった、今からでも遅くないからバーニーとキャスパーとコマに手を出して来いと言われたら防御結界を暴走させて自爆してでも止める覚悟だった。
「普通のエロチートでえっちな世界に送るのは駄目なんですよね?」
「うむ、それは求めてないでシ。お前もずっとその世界で生きるのは嫌でシ?」
「そっすね。1日2日くらいならまだしも、ずっとってのは逆に苦痛になりそうっす」
ぶっちゃけそれなら1ヶ月で魔王倒してくる今の方がまだ楽だ。
「むむ! いい異世界を見つけたでシよ!」
「イケメンが死滅してる世界ですか?」
「イケメンがいなくなってもお前がモテるかどうかは別問題でシ」
止めろ、死ぬぞ、今ここで異世界転生自爆するぞ。
「ちゃんと人間がいて、妖精とかエルフもいる王道ファンタジーでシ」
「女の子がいないというオチじゃないっすよね?」
「ちゃんと可愛い子から綺麗な子まで、ボインの子もいるでシ」
「よっしゃああああああ! 勝った! 今度こそ勝ったぞ!!」
あまりの嬉しさについ大声をあげてガッツポーズを決めてしまった。
いやでも今までの世界が世界だったから仕方が無いだろう。
「それじゃあ、あっちの世界に送るでシ。今度こそ純愛ハーレムやってくるでシ」
「純愛でハーレムとは一体……」
いやでも別に一人を愛することだけが純愛を定義するわけでもないか。
そんな事を考えながら神様の出した扉を開けようとするも、開かなかった。
「フン! フンヌゥ! ちょっ、これ開かないんすけど!?」
「使い方が違うでシ。これはこうやって使うものでシ」
そういって神様は俺を潰すくらい大きな扉を倒し、俺は再び異世界へと転生するのであった。
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