第21話 詩乃とデート②

 昼になり、近くのファミレスで食事をすることになった。


「うーん美味しい♪」


 詩乃は注文したラザニアを美味しそうに食べている。


「本当にファミレスで良かったのか?」


 高級な店も考えていたが、詩乃がファミレスがいいと言ったので来たのだが……。


「はい。高級なところだと尻込みしちゃいますから。それに私はこうやって万尋様とお話して食べれる場所ならどこでも構いません」


 当然ですと微笑む詩乃の姿にドキッとする。


「たかくぅーん」


「れいなちゃん」


「「ちゅー」」


 斜め前の席で随分と仲の良さそうな声がしたので、その方を見ると、男女が向き合ってキスをしているところだった。


 すると、男性の方がカチャカチャとベルトを外し始め……。


「……これは見ちゃいけないものですね」


 詩乃が恥ずかしそうに俯く。

 店内でいきなりセックスをおっぱじめたというのに、周りの人たちはそれが普通の光景だと言わんばかりに気にせずにいる。


「……出る?」


「あ、いえ……大丈夫です」


 と歯切れの悪い答えが返ってくる。


 いくら普通だとしても、俺は見てて気分が悪い。

 喘ぐ声を聞いて食事できるか。


 イライラを抑えるため、アイスコーヒを飲む。


「あの……」


「どうした?」


「ま、万尋様はああいうのには興味がないのですか……?」


「——ブハッ!?」


 予想外の質問にアイスコーヒを吹いてしまった。


「いや…その……」


 吹いたアイスコーヒを拭きながらなんとか返そうとすると、言葉が思いつかない。


「私たち……私の身体に魅力がないのかと思って……」


「いやいや!? 魅力はめっちゃある!」

 

 お風呂で背中を流してもらった時も、視線を合わせないように我慢したし。


「そ、そうですか……ありがとうございます」


「お、おう……」


「私、万尋様に愛してもらえるなら、二番目でも全然、いいですからっ」


 詩乃の言葉に唖然とする。

 そこまで俺に対して好意を抱いてくれているなんて……。


 その後はお互い恥ずかしがって、無言で食事をした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る