第19話 デートの提案

 部屋でくつろいでいると、トントン、とドアを叩く音がした。


「はーい」


「失礼します、万尋様」


 入ってきたのは、ブカブカのワイシャツに下は履いているのか分からない際どい姿の柚乃。


 俺は驚いてベッドから起き上がった。


「お、おい柚乃!? まさかそれ……俺のワイシャツ?」


「はい。彼シャツというのをやってみました♪ 後からちゃんと洗濯するのでご安心を」


「今の状況が安心できないんだけど……」


 いらなくなったワイシャツを何故か欲しがる柚乃にあげていたが、まさか男の夢である彼シャツを拝める日がくるとは……。


 とても似合っているということは間違いない。


「で、どうしたんだ? わざわざ部屋に来て。一緒に寝たいとか?」


「まぁそれも含まれているのですが……。万尋様にお願いがありまして」


「お願い?」


「はい。私たち三人とデートして欲しいです」


「デートね。別にいいぞ」


 普段も一人ずつと外出しているし、今回もそれと同じ感じだろう。

 

「一つ言っておくと、今回のは万尋様が思い描いているデートではありません。お買い物とは違います。これは恋人とするデートなのです」


「お、おう?」


 話が読めない。

 どういうことだ?


「私も詩乃も雪空ちゃんも万尋様にとても良くしてもらっています。おかげで毎日がすごく充実していて楽しいです」


「それは良かった」


「詩乃を買っていただいたあの日の夜、万尋様は、『別に俺はそういう目的で君たちを買った訳じゃない。俺はの女性として柚乃と詩乃を見ている』と言ってくれました」


「お、おう」


「文字通り、万尋様は私たちを飼恋人セフレとしてではなく、普通の女性として、それ以上に丁寧に扱ってくれています。その優しさに依存し、私たちはじゃ満足できなくなっちゃいました」

 

 ここで一旦会話が切れ、息を吸った柚乃が再び口を開く。


「私……いえ、私、詩乃、雪空ちゃんは万尋様が好きです。このデートでできることなら——誰か一人をとして選んで欲しいと思っています」


「っ……」


 三人が俺のことを好き。 

 なんとなく感じ取っていたが、直接言われると、ドキッとする。


「どんな結果になろうと後悔はしません。万尋様だって、選ばれなかった女の子たちを捨てるなんてことはしないしょ?」


「そ、そうだけど……」


「なら安心です。さっきも言いましたが、私たちは普通に満足できなくなりました。それ以上の関係。恋人。さらには正妻になりたい。そう強く思っています」


「……」


 真剣に話す柚乃から目を離せない。

 

 確かに三人の中から誰か一人を選んだとしても、残りは飼恋人としてそばに居させることができる。


 けれど……


 正妻になれば腕輪は白に変わる。

 しかし、残りは黒のまま。


 社会的な目を見たら白の腕輪になりたいと思うのだが……。


 いや、偏見したらダメだ。

 俺がそう思ってどうする。


 柚乃がみんなが望んでいるのなら、俺は誰か一人を——選ぶべきだ。


「ああ、分かった。一人を選ぶよ」


「ありがとうございます。デートの日程はこちらで組みますので……よろしくお願いします」

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