第18話 恋バナ

 ——万尋が三嶋家に行っている頃


「二人は好きな人いる?」


「ん?」


「ふぇ?」


 洗濯物を畳んでいる柚乃は、詩乃と雪空にそう聞いた。


「いきなりだね、お姉ちゃん」


「なんとなく気になったから。それで、好きな人いる?」


「私は万尋さまぁ〜!」


「雪空ちゃんは?」


「わ、私もまーくんのことが……好き、です……」


「顔真っ赤でかわいいー! ぎゅーしちゃお、ぎゅー!」


「わぷっ」


「こら、詩乃。雪空ちゃんが困ってるでしょうが」


 抱きつく詩乃をこつん、と軽く拳で叩く。


「ごめんなさーい。じゃあお姉ちゃんの好きな人は?」


「私も万尋様だよ。というか、万尋様以外の男の人とあまり接したことがないし」


 柚乃も詩乃も女子校出身なので、男子との関わりは少ないのである。


「まーくん、モテモテ……」


 雪空が眉を下げ、不安げな顔をする。


「雪空ちゃん、私たちが万尋様を好きなの怖い?」


「え、あっ……」


「まぁライバルが増えるのは厄介だよねー。自分で言っちゃうけど」


「そ、そんなことは……。……ちょっとだけ……あります……」


「正直に言う雪空ちゃん可愛い!」


 雪空のロリ体型もあってか、詩乃は彼女のことが凄く気に入っている。

 同年代だが、妹のように可愛がっているのだ。


「うーん、みんな好きかぁ〜。でも結婚できるのは一人だけなんだよねぇ」


 そう。日本は未だ一夫一妻。

 あとはセフレ認定。

 みんな好きだとしても正妻になれるのは一人だけ。


「愛情さえあれば私はどっちでもいいかなー」


「わ、私も……」


「けれど、私たちの中から正妻が選ばれるとは限らないよね?」


「「っ……!?」」


 柚乃の言葉に、先程まではニコニコしていた詩乃と雪空が、ハッと気づく。


 考えれば分かること。

 主人がまた飼恋人セフレを買ってくるかもしれない。

 そうなれば当然、ライバルが増えるわけで……。


「ふふっ。私たち三人以外に人が増えないように……みんなでアピールしちゃおっか」


「アピール?」


「うん。みんなで万尋様をメロメロにするの」


「わ、私にそんなこと、できるかな……」


「大丈夫。それぞれのやり方で実行すれば、きっとメロメロになってくれるよ。じゃあ私が万尋様に話を通しておくから」


「なんの話?」


 不思議そうにする2人に柚乃はニコッと微笑み……


「——。だよ」


 楽しそうにそう言った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る