第三章

第17話 飼恋人≠恋人

 休日。

 雪空の件でお世話になった三嶋翔の家に来ていた。

 一軒家でかなりの豪邸。 

 入り口には黒服を着たボディーガードの女性たちが並んでおり、2回目とはいえ、入る時はやはり凄く緊張した……。


 それぞれの近況を話しながらゆったりしていると……


「師匠は彼女とかいないんですか?」


「え、いないけど……」


 そんな話になった。


「じゃあ飼恋人セフレさんと付き合ってるんですか?」


「誰とも付き合ってないぞ」


 てか、飼恋人セフレと付き合うとか、全然考えてなかった……。


「そうなんですね。三人とも凄くお綺麗だっだので、てっきり誰かと付き合っているものだと」


「そういう翔はどうなんだ? 彼女いるのか」


「ま、まぁ……」


 頬が赤くなった。

 ほう、この反応は……。


「ご主人様」


「ぴゃっ!?」


「!? びっくりした……」


 いきなり女性の顔が現れたので、二人して驚く。


 漆黒のロングヘアーに彫りの深いキリッとした顔立ち、目はやや切れ目の真紅の瞳。

 声は聞くだけで背筋が伸びるような、ハッキリとした低め。

 クールビューティーの名がふさわしい美人さんだ。

 メイド服を着ていることから、翔のメイドなのか。


「彼女と聞きましたので、登場しました」


「あ、そうなの……。えと、師匠……こちらは僕の飼恋人セフレ櫻木紫穂さくらぎしほさんです」


「ご主人様、説明が足りません」


「何か足りなかった?」


「私がご主人様の彼女ということです」


「ああ、うん。そうだね」


「ハッキリと言ってもらわないと困ります。たとえ男だとしても油断はできませんから」


 ギロリ

 櫻木さんの鋭い視線が俺に突き刺さる。


「……俺は翔のことは親友と思ってますから」


「そ、そうだよ紫穂! 師匠に失礼じゃないか……!」


「……そうですか。これは大変失礼しました。今後とも私も含めよろしくお願いします」


「は、はぁ……」


 翔の飼恋人セフレさ——じゃなくて、彼女さん。なんだか独占欲が強そうだな。

 これは将来、尻にひかれる未来しか……まぁ、二人が幸せならいいか。




 色々、考えながら歩き続け、俺は新しい新居に帰ってきた。


 さて、このドアの向こうには悩みの種である彼女たちが待ち構えている。


 俺は鍵を開けて、ドアノブに手を掛け、


「ただいま~」


 そう言って入ると、ドタバタと足音が近づいてきた。


「おかえりなさいです、万尋様」


「万尋さまぁ!」


「まーくん!」


 柚乃は微笑み、詩乃と雪空は抱きついてきた。


「まーくんまーくん、聞いて聞いて! 今日ね、ユズちゃんにお料理教えてもらって、夕食作りお手伝いしたんだよ」


「あー、雪空ちゃんずるーい! 私だってお皿並べ頑張ったもん〜」


「ふふっ。二人とも、よく頑張ってましたよ」


「そっか。みんなありがとな」


 なんとも微笑ましい光景。

 ずっとこのまま……。


 ……。


 もし、仮に三人が好意を抱いてくれていた場合、俺はこの中の一人を正妻に選ばないといけないのかな……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る