第二章

第12話 年下幼馴染

 久住雪空くすみゆらがオークションに出されたと、母親の御子さんから連絡をもらった。


 久住家は破産した訳でもないし、別にお金に困っている様子でもない。


 問題は雪空個人にあったようだ。


 友人の連帯保証人になったが、その友人が夜逃げし、借金を雪空が支払わないといけなくなったらしい。


 首が回らなくなった雪空は、両親や周りに迷惑がかからないようにと、飼恋人セフレ申請したようだ。


 飼恋人セフレがオークションに出る場合、購入された金額の3割ほど貰えるという特別制度がある。

 ただオークションに出るための審査は厳しく、ある程度の容姿じゃないといけないとか。

 つまり、オークションに出ている飼恋人セフレは美少女や美人ばかり。


 値段も通常とは遥かに違い、会場はお金持ちたちが集まるセレブパーティー。


 そして、飼恋人セフレにとってはそんな大金持ちに高額で買ってもらえるという、まさに一攫千金。


 宝くじで当たったお金は12億。その内、1500万円で一宮姉妹を買った。


 残りは11億8500万円。

 一見、余裕そうだが、相手は大手企業やお金持ち。億越えは覚悟した方がいいな……。


 つか、普通、借金の連帯保証人になるか……?


「……雪空ゆらならあり得るかぁ。お人好しだもんな……」


 そんな雪空に借金を押し付けて逃げた奴……ぜってぇ許さない。


「あの、万尋様」


「ん? どうした柚乃?」


「その、雪空さんという方は万尋様とどのような関係なんですか?」


「ああ、雪空は俺の幼馴染なんだ」


 引っ越す前まで隣の家だった年下幼馴染。

 思い出が蘇ってくる……。


『ゆら、おおきくなったら、まーくんのおよめさんになるーっ!』


『ゆらちゃん、俺のお嫁さんになってくれの〜?』


『うん、およめさんになるーっ。まーくんのこと、たくさんおせわしたりするの!』


 と、結婚の約束をしたこともあれば。


『ゔええええーんっ!』


『ど、どうしたゆらちゃん。なんで泣いてるの?』


『まーくんがうわきしたーっ。うわきものーーっ!』


『ゆ、ゆらちゃん、落ち着いて……。周りの目がなんか痛い……』


『まーくんはゆらのだんなさんなのっ! ほかのおんなのことなかよくしちゃだめーっ!』


 風邪気味のクラスメイトにプリントを届けにいっただけで泣きじゃくることもあった。



「う〜んっ、泣かないでよゆらちゃん……」


「万尋さま、頭の中で女の子を泣かせちゃダメですよーっ」


 ハッ。

 つい口に出していた。


「ちなみに雪空は詩乃と同い年の高校三年だぞ」


「同い年! わーい! 私、同い年の友達が欲しかったんですよね〜」


 詩乃の人懐っこい性格なら、雪空とすぐ仲良くなれるだろう。


「しかし、雪空も来るとなれば、ここの家は少し小さいかな」


 一人暮らしのアパートに俺も含め三人いるだけでギリギリなのに、雪空も来るとなれば計4人。

 それに、みんな一人部屋は欲しいだろう。


「オークションは明後日……。今のうちに新居を探しにいくか」


「はーい!」


「あと、歓迎パーティーも開かないとな」


「わーい!」


「……」


 詩乃がテンション高めに対して、柚乃が暗い顔をしていたことを俺は見逃さなかった。

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