第14話 VSお坊ちゃん①

「いよいよですね万尋様」


「うう……なんか私まで時々してきましたぁ〜」


「二人とも、そんなに固まるなよ。ほら、リラックスリラックス」


 と言う俺も結構緊張してる。


 オークション当日となり、会場に来ていた俺と柚乃と詩乃。

 俺たち以外にも、たくさんの人が来ていた。


 オークションにはもちろん初めて参加するので、あまり詳しいルールは分からないが、とりあえず前の金額より高い金額を言えばいいらしい。


 すると、会場が暗くなり、目の前のスポットライトにライトが集まる。


「長らくお待たせいたしまた。ただ今より、飼恋人セフレオークションを開催したいと思います」


 司会者の合図に合わせて、ステージの袖から次々と黒い腕輪をつけた女の子が出てくる。


「万尋さま、雪乃ちゃんはどれですか?」


「あの、右から三番目の水色のサイドテールの子だよ」


 ステージに立っている雪空を見つめる。

 琥珀色の大きな瞳に、可愛らしくも小粋なサイドテール。

 小さくも愛らしい鼻の下には、小ぶりだけれどぷっくりと柔らかそうな唇。

 相変わらずのロリ体型だ。

 身長もあまり伸びていないようで150センチはないのは間違いない。


 雪空以外は興味ないので、適当に聞き流す。

 そして、ついに雪空の番がきた。


「続いてはこちらの飼恋人セフレ。2000万からスタートです!」


「2500万」

「3000万」

「3500万」


 雪空の金額がどんどんつり上がっていく。

 前の飼恋人セフレよりみんな食いつきがいい。

 色白でロリ体型はオークション参加者の趣味嗜好に合っていたのだろうか。


 1000万単位を平然と言うなんて、ここにいると金銭感覚がおかしくなりそうだ。


「5000万!」


 そんな中、比較的若い声が響いた。

 若いどころじゃない。あれは小学生だ。

 ん? なんか見たことが……


「あっ、芳賀グループのお坊ちゃんじゃん」


 芳賀グループは国内で有名な企業。

 パンフレットで息子の写真が写ってたので、その顔で間違いない。


 周りには黒い腕輪をつけた綺麗な人たちが20人くらいおり、お坊ちゃんは年上の姉さんの膝に乗って参加してた。


 こんな小さな頃から飼恋人セフレをはべらせて将来大丈夫か……?


 と、そろそろ俺も参加しますか。


「6000万」


「む、7000万!」


「8000万」


「きゅ、9000万!」


「1億」


 おおお!と会場が盛り上がる。

 1億あっという間に越えた。ここからが勝負だな。


「ぐぬぬ……あとどのくらい使える?」


「坊っちゃま、私にいい考えがあります」


「いい考え?」


「はい。なのでここは一旦あの方に譲りましょう」


「分かった」


 何やら話しているようだが、距離が遠くてよく聞こえない。


「さぁ、1億まで跳ね上がりました! 他の方はどうでしょうか?」


 お坊ちゃんがまた値段を上げてくると思ったが、何も言わない。諦めたのか?


「いないですね? 他にいないということなので、こちらの飼恋人セフレは1億で落札になります!」




 会場内にある個室に案内されると、そこには雪乃が座っていた。


「雪乃」


「……買っていただきありがとうございますご主人様」


 入ってすぐ頭を下げたので、俺が買ったと気づいていない。


「俺だよ俺。久城万尋」


「万尋様ですね。万尋様……ん?」


 顔を上げたところで目が合う。


「久しぶりだな、雪空」


「え、え? ま、まーくん?」


「おう。まーくんだぞ」


 ようやく俺だと気づき、信じられないと驚愕していた。


「たくっ……普通、借金の連帯保証人になるかよ」


「だ、だって友達が困ってたから……。あっ、借金」


「それなら俺が払っといたぞ。これで借金地獄も終わりだな」


 目の前の雪空は泣きそうになっていた。

 俺に会えたのが嬉しいのか、借金が無くなったことにホッとしているのか。それとも両方なのか。

 

「まぁ、とりあえず……ほらこい」


 両手を広げ、抱きついてこいと言う。


「ま、まぁくーん……うぇぇぇーーん〜〜!」


「おっと。よしよし……」


 抱きついてきた雪乃を優しく撫でる。


「今まで慣れない環境でよく泣かずに耐えてきたな。偉いぞ」


「こ、怖かった……っ。暗い顔をしてる子がたくさんいて、辛い話もたくさん聞いて……ぐすっ……」


「辛かったな。だけど、もう安心しろ。俺がいるから」


「う、うん。まーくんなら安心だよ……」



 契約を済ませ、柚乃や詩乃が待つロビーに向かう。

 二人とも、雪空を可愛がってくれるといいなー。


「いきなり現れてなんですか貴方は!」


 少し声を荒らげた柚乃がいた。

 

「どうしたの柚乃?」


「万尋様……」


 詩乃を庇うように前に出ている柚乃。

 何やらトラブルなようだ。


「あっ、いた」


 俺を見るなり指をさしてきた少年。

 芳賀グループのお坊ちゃんだ。


 人に指をさすなんて失礼だと思っていたら、


「ねぇ、その子僕にちょうだい」


 隣にいる雪空を指さした。

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