第8話 甘えてきた詩乃が可愛すぎる件

「昼間はお見苦しいところをお見せしました……」


 講義が終わり、詩乃と帰っている。

 詩乃の目はまだちょっと腫れていて赤い。


「全然見苦しくないよ。なんというか……詩乃に頼られてちょっと嬉しかった……なんてな」


 詩乃が最近話してくれるのも嬉しい、昼間、俺の胸で感情を爆発させ、泣きじゃくった時だって、胸が張り裂けるほど見ていて辛かったが、俺を信用して表してくれた行動だ。


 少しずつだが、詩乃に信頼されている。俺はそれが凄く嬉しかった。


「……」

 

「し、詩乃?」


 突然、詩乃が俺の手を握る。

 今までこういう事をしてこなかったので、戸惑ってしまった。


「少しだけ、手を握っていてもいいですか……?」


「あ、ああ……いいぞ」


 ギュッと握られた手。もう震えてはない。安心して預けているようだ。


「……」


「……」


 お互い話す事もなく、無言になる。

 でも、繋がれた手は離れることはなかった。



「ただいまー」


「お帰りなさい万尋様、詩乃。ふふ、どうやら仲が良くなったようですね」


 手を繋ぐ俺と詩乃を優しく微笑んでいる。


「万尋様はとてもお優しい事が分かった」


「うんうん。お姉ちゃんが言ってた事は本当だったでしょー♪」


「お姉ちゃんはやっぱり嘘をつかないね」


「当たり前だよー」


 姉妹の会話。やはり俺の時とは違って口調が砕けている。

 いつかこんなラフに話してくれる日がくるといいが。


 リビングに入るも、詩乃は手を離さない。別に握られていてもいいけど……。


「詩乃、もう家に着いたけど……」


 詩乃は穏やかな笑みを浮かべて俺を見る。


 と、とりあえず座るか。


「じゃあ私も座りますね」


「う、うん……」


 あぐらをかく俺の横に身体を寄せて、俺の手を取って愛おしそうに撫でてきた。

 ちょっと、恥ずかしいな……。


「万尋様はこの世界の救世主かもしれない」


「きゅ、救世主って……大袈裟だろ」


「大袈裟じゃないです。飼恋人セフレにこんなに優しく接してくれる男性は見たことも聞いたこともありません。すなわち万尋様は男性の鑑……神様?」


「流石に神様ではないと思うが……」


「ふふっ、詩乃ってばすっかり万尋様に懐いてますね」


「〜〜♪」


 熱い眼差しで見つめられ続けるのがむずかゆくなって、俺は話題を変える。


「お、お腹が減ったんだ。夕食できてる?」


「はい、今日はハンバーグにしました♪」


「そうか。じゃあ早速食べよう」


 そう言うと、柚乃はキッチンの方へ準備を始めた。


「万尋様」


「なに?」


「また抱きしめてくれませんか?」


「あ、ああ……いいよ」


 俺よりも小さい身体を、ギュッと抱きしめる。


「んんっ……はぅ」


 目を閉じて色っぽい声を出す詩乃。


「ん、はぅぅ……ふわぁ……」


 えっと、背中撫でてるだけなんだけど……。


「えへへ、万尋様……大好きです……」


「……っ」


 ふにゃけた笑顔に、初めて言われた言葉に思わず手が止まる。


 ……甘えてきた詩乃が、可愛すぎるんだが!?



〈あとがき〉


 すいません! 昨日は体調を崩して全作品の更新が止まりました💦


 次回もお楽しみに!

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