第3話 契約

「この子との主人契約と一宮詩乃いちみやしのという子を探してもらえませんか?」


 飼恋人セフレを管理する施設に向い、受付の男に聞く。


「かしこまりました。まずはお客様の名前をお願いします」


久城万尋くじょうまひろだ」


「久城様ですね。データは移し終わりましたので、こちらの腕輪を彼女に付けてください」


 黒い腕輪を渡される。

 俺が付けることで主人である指紋も取れるらしい。


 ピピ!


久城万尋くじょうまひろ様が主人になりした〉


 電子音が響く。

 これで正式に一宮さんが俺の飼恋人セフレになった。


「では次にお探しの飼恋人セフレについてですが、ここにはいませんが、別の施設にいるんですのでお取り寄せが可能です。その際、手数料がかかりますがよろしいでしょうか?」


「ああ構わない」


「ありがとうございます。二人の飼恋人セフレ合計金額は1500万になります」


 1500万。こんなに美少女ならそれぐらい価値はあるか。

 タブレットから自分の口座にアクセスして1500万円の入金が完了した。


「それではもう一人の飼恋人セフレは明日までにはここに届くので、またこちらにいらしてください」


「分かった」


「ありがとうございました。また弊社をご贔屓に」


 俺は一宮さんを連れて施設を出る。


「あの、久城様……」


「万尋でいい」


「さ、流石にそれは……。では万尋様でよろしいでしょうか?」


「ああ、それでいい。俺は柚乃と呼ぶ」


「はい」


「ちなみに柚乃は家事や料理はできるか?」


「少しだけならできます」


「そうか」


 ここで会話は一旦止まる。

 話題に困るなぁ……。


「柚乃、お腹は空いてるか?」


「は、はい。空いてます」


「じゃあどこか食べに行くか。焼肉でいい?」


「は、はい」


 俺が肉の気分だったので、付き合わせる。 

 近くの一人用焼肉屋に入った。席は壁で仕切られていて、人の目を気にすることはない。この店を選んだもの、柚乃が俺を気にせず食べられるからだ。


「じゃあ柚乃、ドンドン食べろよ。俺も腹が減ったから」


 柚乃に声を掛けるのはこれで最後。

 俺は設置されているタッチパネルで値段を見ないで次々と押していく。こういう普通の店で食べ尽くすのもまた贅沢だよな。


 届いたお肉を目の前にある一人用のプレートに次々の並べて、焼き上がったら腹を満たすように次々の食べる。


「……うまっ」


 ほう、と思わずため息をつく。

 適度に脂がのっていて、とても柔らかい。熱々の白米と合わせて食べるとさらにうまい。


「……っ……っ」


 隣から何やら啜り泣く音がする。


「……たくさん食べてるといいな」


 それから、それぞれたらふく食べ、店を出た頃には周りは暗くなっていた。


 アパートに帰り、柚乃を風呂に入らせる。風呂から上がった柚乃は更に磨きがかかっていた。

 俺も風呂入り、今日は早めに寝る。


「さて、寝るか」


 と、ここで問題があった。

 一人暮らしのため布団は一つしかない。


「私は床で大丈夫です……!」


 察した柚乃だが、いくら男が偉いからって女の子を床に寝かせるのには抵抗がある。でも、柚乃も多分、譲らないと思うから……。


「……柚乃、もし君が嫌じゃないなら一緒に寝るか?」


 そう提案してみる。

 柚乃はポカーンとしていた。


「……いや、やっぱいい。俺はどこかホテルでも——」


「ぜ、全然構いません! むしろ私からお願いしたいですっ」


「そ、そうか……」


 そして俺たちは電気を消して真っ暗になった部屋で添い寝していた。目の前には文句なしな美少女が正面で寝ている。頭一個分動かせば触れる距離だ。


 てかよく考えたら美少女と添い寝とかヤバイ状況だよな。なんか意識したら変な気持ちに……。


「ふふ」


 柚乃が小さく笑いをこぼす。


「どうした?」


「その、あったかいなぁと思って……」


「お、おう?」


 あっかい? あったかいで笑うのか?


「万尋様」


「ん?」


「もう少し、近づいてよろしいでしょうか?」


「ああ……いいぞ」


 柚乃がズイッと俺に近づく。頭は俺の胸に預け、これはもう密着しているという距離だ。

 同じシャンプーを使っているはずなのに、いい香りがする。身体も女の子らしく柔らかいし、


「お、おやすみ」


「はい。おやすみなさい」


 と、言ったものの……これ寝れるのか!?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る