第31話 ポーション売りの少女2
「ええ、勿論、本物ですよ!」僕は強く言い切った。
じいちゃんのポーションを今まで大量に見てきたのだ、本物かどうかぐらいわかるからだ。
「サクラとかじゃねよな?」随分、疑い深いがなんだろう?気にいらなければ無視して通り過ぎればいいのに……
「僕は二日前にガザフに着いたばかりの探索者です。近くのダリル鍛冶屋で防具のメンテナンスを頼んで、偶然、この子達からポーション買っただけですよ」
そう言って僕はギルドの身分証まで見せた。
「そ、そうかすまんな、確かに昨日の登録だ。疑うような事、言って悪かったな」
口調はともかく、態度は最初から悪くないので、絡むために話しかけてきたようには見えない。
「いえ、分かって貰えたのならかまいませんよ、でも、疑わしいなら無視すれば良いのでは?」
僕は自分の証明が終わったので、ここで会話を打ち切ってもよかったのだが、気になったのでそう質問してみた。
「ああ、あんたの言う通りなんだが……前から気になっててな、売れてないみたいだから。買ってやりたいとは思ってたんだが……以前、露天商で安くポーション買ってただの浄化水だった事があってな、探索者にとっちゃ命に関わるからな」
僕はやっと理解出来た。子供達のポーションが売れてないのが可哀想だったみたいだ、見かけより優しい人達だったみたいだ。
「僕は錬金術師ではありませんが、祖父は村で錬金術師をやっていたのでポーションの目利きぐらいは出来ます。それから……」
僕はポーチからポーション瓶に詰めてあった薬草粉末を取りだした。
「これは、僕が村で薬草から作った粉末です。このままでも多少の治療効果があります。その手の傷を治療しても? 」実はさっきから、その探索者の手の傷が気になっていたのだ。
「あ、ああ頼む……」男は若干不安そうだが、手を差し出してきた。
その時、女の子が「私が作った、浄化水です! よかったらどうぞ」と差し出してくれた。僕は普通の飲み水を使うつもりだったので有り難く受け取った。
そして、男の手に薬草粉末を少し振りかけ、その上から浄化水を少しふくませた。
「おお! ジクジクしていた痛みが引いていく!」男の傷は見た目より悪かったようで、放置していて化膿しかかっていたようだ。
「治療効果は低いですが、そのうち治るでしょう……つまり何が言いたいかというと、薬草にも詳しいので、この子達が天日干ししてる、薬草も本物だとわかるわけです」
少々まわりくどくなったが僕が説明を終えると……
「あのお客様、その薬草粉末少し頂けませんか? ……もちろん、後ほど、お金は支払います」
僕が不思議そうに薬草粉末を手渡した。すると……
「私、この場でポーションを錬成します!」と、女の子は力強く宣言したのだった。
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