宇宙錬金術アカデミー完成記念 ゴルドシュミット氏へのインタビューより抜粋

『ああ、フラスコというのは私たちが、建造中の『ハコ』をそのように呼んでいたもので』


『ええ、やっとか、というより、よしこれからだ! という思いですね。ゴールだと思ったらスタート地点。すぐ次のゴールが現れます。でも苦しさより楽しさがありますね。この歳にして走り続けられる私は、果報者です』


『私が社長職を辞してからは、ゴルドシュミット社は一ビジネスパートナーとして、良い関係を築いています。何度も申し上げてきましたが、柱事件については私個人の計画でしたし、私財で行いましたから』


『そうですね。宇宙開発用の新素材……と詳細なことは申し上げられないのですが、オーダーが最優先です。それが条件ですし、技術開発のノウハウは無駄にはなりません。

 なにより、人類共通の利益です。広く知れ渡ったとはいえ、錬金術はまだまだ異質な……魔法のような存在と捉えられています。錬金術の存在を許していただくためには、これが人類に利するものでなくてはなりませんし、そうでなくても当然のことですから』


『おや、よくお調べになっていますね。ですがホムンクルスというものは、私は創作に過ぎないと思っています。実際試しましたし。え? ええ、試しました。でも、そんなに旨い話なんてあるわけがないんです。あったら、錬金術はきっと忘れ去られることもなかったでしょう』


『ええ、教え子の他の教師も、現役の錬金術師です。はい、『柱』の前、まだ社長職にあった時期ですね。死亡説が流れたりしておいおいと、思ったりしていましたが。まあ仕方ないことです。それで……以前私がどこかで申し上げたと思うのですが、錬金術師というのは横のつながりがほとんどない。一匹狼なんですね。それでも欧州に固まっていますから。

 問題は見つけてからで、ああ、先に私個人の計画と申しましたが、この時ばかりは肩書に助けられましたね。なにしろ「あなた錬金術師ですよね」と聞いたってシラを切られるに決まってるんですから!』

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