番外編②-15 – 上司
(ここは……D–3ビル地下4階の麻薬オークションが行われた会場か)
藤村はステージ中央に佇み、ヴィンヤード形式のコンサートホール360度を見渡す。すると会場の照明から成される影から突如、複数の
「あの2人、置いてきて大丈夫?」
「あぁ?」
藤村は大量の
「あの2人、確実に
藤村は
「あいつらは負けねー。あんまり俺の部下をなめんなよ?」
––––ゴゴゴゴ……
藤村と
「良い上司のフリ?」
「バーカ、良い上司なんだよ」
「はっ、面白い冗談」
大量の
––––数秒後
(一体……何が起こった…… ?)
(この僅か一瞬で? 30体以上を創り出したんだぞ!?)
––––ピッ
その時、
「おいおい、真面目に撃ってたら今ので死んでたぞ? お前」
余裕の表情で笑みを浮かべる藤村が
「期待して本体は後回しにしてたのに、こんなんじゃあ期待外れも良いところだぞ?」
藤村は一度言葉を切り、右手に持った〝
「俺を楽しませてみろよ。不協の十二音さんよ。何も一方的に楽しむのがお前らの専売特許ってわけじゃあないんだぜ?」
藤村のサイクスと捉えきれなかった彼の動きにたじろぎながらもそれ以上に藤村のその余裕に満ちた態度に怒りを覚えた
「安心しろよ。他にもリソースを割いてた分、フルパワーじゃないんだよ」
––––〝
(藤村の超能力に関する情報収集? 冗談じゃない! 本気でやらなきゃこっちが殺される……!)
藤村はそんな
「やけに余裕だね」
藤村は携帯灰皿を再び内ポケットにしまって新たな煙草に火をつけながら
「その辺に吸い殻を捨てんなってうるさいんだよ」
「現場で煙草吸ってるくせに何言ってんだか」
藤村はライターの蓋をキンッと音を立てながら閉めた後に答える。
「こりゃ一本取られたね」
藤村が言い終わらないうちに
「さて、この煙草を俺が吸い終わるまでお前は耐えられるかな?」
藤村は
#####
「はい、こちら月島。花さんどうされましたか?」
愛香は花からの着信を取って応答する。
「愛香、第三地区高等学校職員の身体刺激型超能力者は既にリスト化してあるのよね?」
「はい」
愛香はPCから第三地区高等学校のデータを検索しながら自身の記憶の中からリストを浮かべる。
「その中で政府に届出をしていない者は?」
「
愛香は花の質問に対して即答する。
「OK。その6人の名前、私の端末にも送っておいて」
その時、範囲を広げておいた〝
(チッ、面倒ね)
花は愛香に
「愛香、今挙げてくれた6人の現在の居所を至急確認して! 私は突然出現したDEEDの残党を片付けながら情報収集に取り掛かる」
「了解」
愛香は電話を切った後に玲奈に経緯を説明する。
「学校機関は既に夏季休業に入っていて今日は土曜。職員の数は少ないわね」
愛香は記憶の中から部活動の顧問を務める職員をピックアップする。さらに瑞希が高校から配布されたデータの中から8月17日に活動している部活動を特定する。
「伊藤、浮田、門田、内倉の4人は部活動の顧問を務めていて、伊藤と浮田が務めるサッカー部と吹奏楽部は今日活動してる」
その時、愛香と玲奈の背後から杉本が声をかける。
「月島さんは第三地区高校へ連絡して該当する2人が学校に来ているのかを確認。坂口さんは管理委員会にこの事を連絡して残り4人の登録IDへのアクセス許可申請をして下さい」
「了解です」
玲奈はすぐさま管理委員会に連絡を入れに行く。
「月島さん、内倉祥一郎は妹さんが籍を置いている1年1組の担任の方ですね?」
「はい、そうです」
「おそらく妹さんは内倉先生の緊急連絡先をお持ちですね? そのデータ、月島さんはお持ちですか?」
「はい。私のプライベート端末の方に」
「僕の端末に送信して下さい」
愛香はすぐに杉本の端末にデータを送信する。
「どうもありがとう。ここからそう遠くないですね。僕は内倉先生を尋ねましょう」
杉本は愛香の不安そうな表情を察して告げる。
「月島さんは高校への連絡を優先して下さい」
杉本はそう言うと部屋を後にした。
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