5-7話 体育祭の準備
文化祭は終了したが、
「次、二人三脚の出場選手だけど」
「それもう、一組は決まりじゃない?」
「うちのクラス、絶対的エースがいるもんな……」
クラスメイトの視線が拓海と
「「まあ、勝ちに行くなら、それがいいかもね」」
拓海と日菜菊は声を揃えて了承した。
「つーか、ペア競技はヒナタ・コンビ必須だろ」
「意義なーし」
「他のクラスが度肝を抜かれるのが見れるな」
拓海と日菜菊の出場種目はほぼ考えることなく決まっていった。
「じゃあ次、クラス対抗リレー」
「それはまあ、俺が仕切るべきだろうな」
陸上部の
◇
体育祭の打合せの後、体育の授業となったが、体育祭直前の回は練習に当てていいことになっている。
拓海と日菜菊は二人三脚の練習をすることにした。怪異としての特性上、二人三脚でありながらダッシュするという超テクニックを狙えるので、まずは村岡に走り方のアドバイスを聞くところから始まった。
「身体能力には差があるわけだから、
村岡はそう言うと、日菜菊に走り方の指導を始める。
「スタートはそんな感じ。力の入る方向を意識しろ。地面から力をもらう瞬間、足先から頭までが1本の棒になっているイメージで。走るときは接地時間を短く! 脚を蹴り上げるんじゃないぞ」
たった1日の指導で急に上手くなるわけではないので、ある程度で切り上げ、拓海と日菜菊は実際に二人三脚をやってみることにした。
なにせ日菜菊の右脚と拓海の左脚、日菜菊の左脚と拓海の右脚を
その光景を目の当たりにし、クラスメイトから拍手が上がった。
「いいぞ~、ヒナタ!」
「出たな、2組名物バカップル」
「リア充爆発しろ」
ヒナタ・コンビと莉子の様子にクラスメイトから声が上がる。
その後も各人が出場種目の練習をし、体育の時間は終了となった。
◇
放課後、拓海たちは異世界ゾダールハイムのゲート監視所に向かった。
拓海たちはゲート監視所周辺の広場を使って体育祭の練習をさせてもらった。二人三脚は個別種目だけでなく、二人三脚リレーなるものもあり、チームの一つが怪異研究会のメンバーで固まっているので、その練習だ。
リレーは、片方の走者が残る変わった形式になっており、ペア順に浩太&クラリス、クラリス&莉子、莉子&拓海、拓海&日菜菊で繋ぐ。まずは、浩太&クラリス、莉子&拓海のペアが練習をしている。
「「1、2、1、2」」
「「1、2、1、2」」
両ペア共に声を出している。拓海と莉子は息がピッタリで、すぐにスピードを出せるようになった。
「うお!」
「きゃ!」
一方、浩太とクラリスは足が合わずに転倒している。
「コウタ、声出しの通りに足動かしてよ!」
「いや、お前のタイミングの取り方がおかしいんだよ!」
「やれやれ、二人のタイミングの取り方から修正した方が良いんじゃないかの?」
「動画を撮ったけど、見る?」
日菜菊はスマホを浩太とクラリスに手渡した。
二人でああでもないこうでもないと言い争いながら、修正案を話し合う。そして、再度肩を組んで走り出した。すると、今度は綺麗に決まった。
「おー、いいぞ、浩太、クラリス!」
「その調子、コウちゃん、クラリス!」
拓海と莉子が声をかけた。浩太は元々運動神経があるし、クラリスもしっかり修正してきたので、あっという間にスピードが出るようになった。
「なんだかんだ、息は合わせられるよね、あの二人は」
「そうじゃな」
動画を撮りながらの日菜菊とキマロが話している。
その後はクラリス&莉子のペアが練習した。やがて夕方になり、ゲート監視所の兵士や訪問者に挨拶をして、拓海たちはゲートを抜けて地球に帰還した。
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