第26話「おいおい。手は出すなよ。だからと言って足もだめ。だから揉み揉みもだめ!」
『小説家に楽してなろー』のきれいな海をお風呂にして、屈辱の泥を洗い流した『敗者』である二十一名。『敗者復活戦』に喜び勇んで丘にあがったのはよかったが、洗うのがちょっと早かった。彼らを待っておりました『敗者復活戦』とはこれなのです。名付けて『ドロレス数字奪い合いクイズ』。
「情けない顔をした二十一名の転生者が座っております。これから『敗者復活戦』です。この中から『五名』の方へ『運営がクソなカクさんヨムさん』にいくチャンスが再び訪れます。もちろん現在『モブ』状態ではありますが、復活すればチート能力も元に戻ります。これから私が問題を読み上げます。そしてこのドロの中には数字が書かれた『札』が浮かんでおります。正解だと思う数字の『札』を奪い合ってもらいます。いいか。元気はあるか」
「あるううう!(五名か…。確率的に四分の一…。しかも全員『モブ』状態だからぶっとばしてでも奪えばいい…。よし!)」
「よしよし。では問題。ちなみに小さい『や』、『ゆ』、『よ』もサービスだ!『そさそそしぞすさすざんしょすさささしし。そしすざさㇲさそささささんさし(おかもときどうさくばんちょうさらやしき。おきくがわったおさらはなんまい)?』はははははっ!」
男女関係なくガチでドロの中で『札』を奪い合う二十一名。それを見てゲラゲラ笑っているとめさん。必死です!目が殺気立ってます!確信があるのでしょうか。一枚の『札』を柔道の寝技状態と言いますか、レスレングの亀の状態と言いますか。掴んだ『札』を取られまいと死守しています。そんなに確信があるんでしょうか。
「はははははは!はい、そこまで。そこまで!おい!やめろ。やめろって。はい、『札』を洗って見せて。『そしすざさㇲさそささささんさし(おきくがわったおさらはなんまい)』。正解はおめでとう!『一枚』!『一』の札、サキュバス岸野さん、おめでとう!『運営がクソなカクさんヨムさん』行き決定!一枚抜けたぜ」
あれ?さっき必死で『九』の『札』をガチで取り合ってた人たちは…。サキュバス岸野さんは知的ですね。
「壮絶だぜ。まったく。問題。簡単。『たたととちととつ、たちぢょつたと。ちたちとたたてとたつとちつつ(やまもといそろく『五十六』、さいじょうやそ『八十』。ふたりのなまえをたすといくつ)?』
ていうか…。二十一名に対し、ドロに浮いている『札』の数は三枚しか浮いてませんからね。そりゃあ壮絶な奪い合いになりますよ。またもゲラゲラ爆笑しているとめさん。
「はい。そこまで!おい!やめろ。やめろって。そこ!誰だ。『札』ではなくどさくさに紛れて『女性』を揉み揉みしているやつ。手を出すのはダメだぞ。裁判で負けるぞ。はい、『札』を綺麗に洗って見せてね。頑張ったのにねえ。お嬢さんねえ。正解は『百三十六』おめでとう!抜けたあ!福島さん『運営がクソなカクさんヨムさん』行き決定!問題。『ひふばひほふ。ははほははひははんはっへひ(みつばちのす。あなのかたちはなんかっけい)?』。はい!正解!『六角形』でしたー」
敗者復活を果たした、『モブ』から復活した転生者に拍手を送る勝ち抜きが決定している十九名たち。いいですねえ。そしてバケツのお水でドロを綺麗に洗い流してくれてます。
「あと二人。いくぞ。問題。『へぼびばひほひひひへ、はんぼふひほひべはほうはひぼふぼびゅふはんぶび。べははふひはほふはひはふばふはんへひ(えどじだいのにしきえ、あんどうひろしげはとうかいどうごじゅうさんつぎ。ではかつしかほくさいはふがくなんけい)?』」
ドロに浮かんでいる『札』は相変わらず三枚です。三択です。奪い合いです。壮絶です。
「はい。では見せて。『三十六』正解!抜けたぞ!」
敗者復活の座席数は残り一。十七名のまだ微かにチャンスが残されている『モブ』となった皆さんも死んだ魚のような目をしております。全員が。笑顔だとか、余裕だとか、そう言った表情は一切ありません。ただ、全員。顔から体中までドロだらけであります。
「ラスト一名だ。問題。『ひょふへふはひはふひへはほー。ほふへふほひほはぶははひばひひふふ(しょうせつかにらくしてなろー。おくれるほしのかずはさいだいいくつ)?』。さあいけ!」
そしてもう何でもありの総合地下格闘技のように三枚の『札』を奪い合う十七人。とめさん大爆笑。
「おいおい。手は出すなよ。だからと言って足もだめ。だから揉み揉みもだめ!」
そんなこんなで三人がそれぞれ『札』をゲットします。『札』をゲットできなかった『モブ』となった敗者は愕然としています。
「よし。それぞれ札を見せろ。『一』、『三』、『五』と出ました。正解は『五』!横田君、抜けたぁー!おめでとう。これで敗者復活の五名が決まりました。敗者の皆さん、本当に残念でございました。よろしければもういっぺんドロンコの中に浸かっちまえ!うへへへ…、いえーい!うへへへ、本当にやるんだもん」
自暴自棄ではなく先ほどの殺伐とした表情はなくなり、「えーい、もう『モブ』でもいいやー」と楽しそうにドロンコに飛び込みわちゃわちゃする十七名。皆さん納得しているみたいですね。一万と五十一名の転生者の中から四十名にまで残ったのですからね。ここで脱落しても大したものなんです。胸を張ろう!
「それじゃあ『運営がクソなカクさんヨムさん』行き決定の二十四名!ばんざーい!」
「ばんざーい!」
「もいっちょばんざーい!」
「もいっちょばんざーい!」
「『もいっちょ』まではマネしなくていいんだよ。でも喜べ!ばんざーい!」
「ばんざーい!」
ドロにドロを塗り重ね、生けるゴーレムと化した敗者たち。これがホントの『ドロっぷあうと』。
「スタジオの高島です。いやあ、恐怖映画『どーんおぶざでっど』って感じでしたが敗者の皆さん、本当にお疲れさまでございました」
「いや、あれを『泥の上塗り』って言うんですよね」
「そのままじゃないですか!ひどいこと言ってますねえ。そして次の第五チェックポイントが『運営がクソなカクさんヨムさん』!」
「泥だらけの栄光も束の間でしてね。ここで二人に一人、一気に十二名が脱落となってしまうんですよ」
「十二人も!」
「はい」
「一ダースなら安くなる。古い映画のタイトルだ…」
「それでは早速、え?次の更新は明日?」
「お決まりですねえ。それでは」
「勝てば『ハーレム』」
「負ければ『モブ』」
「『知力』、『体力』、『時の運』」
「『チート』も『無双』も『俺TUEEE』も使い放題」
「早く来い来い」
「木曜日」
「史上最大」
「『異世界横断ウルトラクイズ』でお会いしましょう!」
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