第3話 カッピング
カーテンの隙間から朝日の日差しが差し込み顔を照らしてくる。
「はぁーーあ、朝になったか。起きよう。」
「はあー。おはよう。バスティング君。」
起きるの早すぎる。まだ7時前なのに。
「おはよう、ンクンク。今日は2人で手分けして情報収集だ。」
「はあー。一緒に行動しない?俺この町に来たの初めてだから。」
「僕もだよ。」
「はあー。じゃあ尚更一緒じゃないと迷子になるよ。」
ンクンクが僕を説得してきた。
「分かった一緒に行こう。」
こうして、宿で朝食を済ませてまずは図書館に向かうことにした。
「それにしても色々な物が売ってるね、屋台もたくさんあるし。今日は祭りなのかな?僕らの村とは大違いだ。あっ!あそこの店寄ってみよう!」
「はあー。そんな寄り道して大丈夫?」
「急がば回れって言葉知らないの?」
「はあー。少しだけだよ。」
店の中に入り店内を見て回る。
「たくさんものが置いてあるね。これだ!外から見て綺麗だと思ったんだよね。このお皿。」
「はあー。そんなの旅に必要な…うっ!」
ンクンクが突然、頭を押さえてしゃがみ込んでしまった。
「大丈夫か、ンクンク!」
数分後なんとか落ち着いたようだ。
「何があったの?」
「はあー。もう見たくないけど、そこにある緑色の置物を見たら頭が痛くなってしまったんだ。」
「何だこれ?見たこともないや。」
「それは、カッピングだ。」
怖そうな店長が僕たちのことを見ていたのかこのカッピングの説明を始めた。
「そいつはな。遥か昔に存在したという生き物で、ありとあらゆるボールや球を集め世界を破滅まで追い込んだと言われている。」
「そんな怖い奴なんですね。」
「お前さんの友達まさかとは思うが呪われやしないか?」
「わかるんですか?」
「昔、危ない関係で働いてたらそういう勘も身についちまったんだ。」
見た目が怖そうに見えるのは昔の仕事が関係してたのか。
「それは何の呪いですか?」
「カッピングだ。」
だからこの置物を見て拒絶反応のように頭痛が起きたのか。
「治りますか?」
「弱めることはできる。」
「お願いできますか?」
「どうするんだ坊主。」
「はあー。お願いします。」
「分かった、ンクンクと言ったか?明日ここへ来いお祓いの儀式をする。安心しろ、呪われている可哀想な奴から金は取らねーよ。」
どうやらとても優しい店長だったみたいだ。人は見かけによらないな。今日の教訓だ。
「では、明日お願いします。」
「はあー。お願いします。」
「あぁまた明日。」
こうして、再び図書館に向かい歩き出した。
作者から
カッピングの元ネタは河童です。
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