009  メチカライトvs元勇者




俺は今、”グレイネル” ”メチカライト” の戦いの手助けに急いで向かっている。



「「「パキパキパキパキィィイイッッッッ!!」」」



凍てつく波動が体に伝わってきた。


「ここから、かなり近いぞッ!」


俺は音のなった方向に走っていく……



「「!?」」



そこには、傷だらけになった ”クロキワイド”(第5話参照)が倒れていた。



「大丈夫ですか!?クロキワイド先輩!!」


急いで先輩のもとに近寄る……



『……ハァ、だ、大丈夫だ……気にすんじゃねぇ……』


ギリギリ命は残っていた……だが、ほぼ瀕死状態である。



『ハァ……やつの ”氷” には、俺の風の相性が悪いんだァ……クソォ……』




『――そのゴミがどうかしたのか……』



メチカライトが口を開いた。身長が高く、髪は白髪はくはつでとても冷たい ”眼” をしている。



「今、なんて言った……?」


『そのゴミがどうかしたのか、そう言ったんだよ……』


「お前………ふざけんなぁぁぁぁあああッッッ!!!」



俺の怒りが爆発した。エネルギーが身体中を巡る……



「「「デスエターナルパニッシャァァァアア!!!」」」



剣を振り、魔力の斬撃を飛ばす……!




『――氷変換アイスチェンジ……』


「「パキィィィィンッッッ!!」」



魔力の斬撃が簡単に ”氷” に変わった……!?



『貴様……その程度でリギウンを……?信じられぬ』




メチカライトがこちらに手のひらを向ける……!


氷結アイス弾丸バースト……』



「「「ズドドドドドドドドォォォオオオッッッッ!!!」」」


無数の氷の破片が飛んでくる……甲冑越しに衝撃がつたわる。



『もしかして貴様もこの程度で死ぬのか……? ”魔王”の側近も落ちぶれたものだ』


「まだ、負けてねェよ……?」


『ほう……ならば言葉ではなく行動で示してもらおう……!』



メチカライトが凄まじいスピードでこちらに向かってくる。



氷結アイス斬撃ブレード……!』


「「「キィィィンッッ!!キィン!キィイインッッ!!」」」



一撃一撃が重すぎる。ギリギリの所を剣で受けるのが精一杯だ……



『ほらほらほらァ!どうした?』


メチカライトが笑みを浮かべる……本気で戦いを楽しんでいるようだ。



「くそぉぉぉおおお!!こんにゃろぉぉぉおおおッッッ!!」



俺は剣ではなく、体に魔力を溜め込む……!



「「「キィンッッ!!キンッッッ!キィィィイイイン!!」」」


『ほらほらどうしたァ!もう限界かァ!?』




「くらえぇぇぇえええッッッ!!!!」


「「デスフルバーストォォォォオオオオッッッッッ!!!」」



『!?』



俺は、体に凄まじく溜めた魔力を0距離で放出させた……!!


「「「  ズドォォォオオオオンッッッッッ!!! 」」」


魔力の波動が辺りを包み込む。





「やったか……!?」



『フハハ……それで私が倒れるとでも……?』


メチカライトが巨大な氷の球体の中に入っている……!?



『私は魔物の中でもトップレベルの”防御”を誇る……半端な攻撃は意味がないぞ?』



遠距離からの攻撃は ”氷” に変換され、近距離からの攻撃は ”絶対防御” されてしまう……



『貴様……さっきの威勢は何処に行った? 貴様もそこの ”クロキワイド” と同じかァ?』


「クロキワイド先輩を馬鹿にするなァァアア!!」



クロキワイドが足をふらつかせながら、なんとか立ち上がる……!



『メチカライトさん……どうして、ハァ……どうしてそんなに変わっちまったんだよぉおおおおッッッ!』


『貴様には、到底わからぬ物があるのだ…… ”強さ” というのはそういうものだ』


「強さは……”仲間”を傷つける為にあるのか?俺には理解できない」


『そもそも”仲間”だと思っていないが?貴様の言うことが正しいというのなら……

証明してみせろッッッッ!!!』



一瞬で空気が凍りつく……



「あぁ……テメーみてぇなクソヤローの持論をぶち壊して俺が勝って証明してみせるッッッッ!!」


『面白い……ねじ伏せてやろう。この ”メチカライト” がな……』



――――――――――――――――――――――――――――――

青いゲル状のナニカ 年齢不詳 レベル1


名前通りの見た目である……それだけである。

雑魚い。









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