002  魔王の側近にさせられたのだが?!



俺の名前は バロウ、新米の勇者


アイテムの知識がまったくない俺は超レアアイテムのテレポートカードで

なんと魔王の部屋までテレポートしてしまったのだ……


勢いで魔王の手下になったがレベル3の俺はどうなってしまうんだぁ!?






『お前一人で何ボソボソ言ってんだ? 早くその甲冑かっちゅうに着替えろ』



「え、聞こえてるんですか!? す、すいません。なぜだか急にあらすじを言いたくなって」



この魔物は”ダークパラディン先輩”。魔王直属の部下である。僕はその中の

124番目のダークパラディンに任命されたのだ。


『ピリリリリリィィッッッ!ユウシャセッキンチュウ!』


大きな警告音が鳴り響く。


「魔王さまぁああ!勇者が来ましたぁあぁあ!定位置にお付きください!」


魔王が奥の方から渋々出てくる。すると近くにいる魔物が一斉に魔王に近寄る。



『おい、お前もこい。新米パラディン!』


先輩に促され、魔王のもとに近寄る。



『頑張れ〜!  絶対勝てますよ〜!  魔王様最強〜! フレー!フレー!

おっうっさっま♬』



魔物が魔王のことを一斉に褒めだした。




「先輩、これなんですか……?」



『これは”鼓舞の儀”。魔王様を褒めまくってモチベーションを上げる儀式だ、魔王様が戦うのがめんどくさそうなときにする決まりだ』



魔王の裏側ってこんなんだったのかぁぁぁああ! 以外とかわいいな。



「きたぞ、魔王!!今日こそお前を倒して世界を平和にする!!」



勇者が現れた。



「あ、あれはテレビでもよく見る有名な勇者だ……!」



『貴様らァ!やってしまえェエエエ!!』



魔王の一言で全体が動く。



激しい戦いが繰り広げられる。もちろん俺は参加していない、隙間をくぐり抜けながら必死に逃げ回っている。

勇者との戦いは数の暴力で、勇者が不利な状況になっていた。



謎の得体のしれない物体が飛んでくる……!



『ドンガラガッシャン!』



俺は遠くから飛んできた勇者に激突し共にたおれた。



「いってぇなぁ……。なんでこんなとこに飛んでくんだよ、クソが!」



勇者を見ると完全に気絶していた。俺の足元で。



『うおぉぉぉぉぉお!!やったなぁ、新入りィィ!!』



どうやら俺の手柄になったらしい。





            ◆






その後すぐに魔王から招集された。



『貴様ァ。よくもやってくれた、あんな強力な勇者を……』



「い、いえいえ。僕は何もやってないですし!」



『貴様のことはあまり信じているわけではなかったが、勇者を倒す貴様の姿を見て

貴様のことを信用してやろうと思う……』



おれは得に何もしていないが超ラッキーな展開である。



『貴様、気に入った!!われの側近にしてやろう!命に変えてでもわれを守ると誓えェ!』




「はい!ぜひお願いします、魔王さまぁぁぁぁあああ!!」




俺が倒した訳ではなかったが、このビッグウェーブに乗ることにした。



―――――――――――――――――――――――――――


魔王 年齢不明 魔物レベル不明


魔物の中でトップの強さを誇る、最強の魔物である。

勇者が来ては倒し、勇者が来ては倒す の繰り返しで少し飽きている。


バロウ曰く、かなり可愛いところがあるようだ……

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