先生の肩から

 修学旅行の写真を列の先頭の生徒に手渡し、自分の写真を取って後ろに回せと指示をする。

 写真を見た生徒は、修学旅行を思い起こしてにやけたり、写りが悪いとふてくされたりしていたが、どこかで大きな声が上がった。


 「先生の肩に女の人の手が乗ってる」


 それは集合写真に写っていた。

 写真の右端の列に並んだ私の右肩に、確かに赤黒いマニキュアを塗った女の手が乗っていた。


 並びからして、その場所に人の手があるということはあまりにも不自然だった。

 心霊写真だ、と思った。

 教室中が大騒ぎになっている中、写真をよく見た。


 マニキュアだと思っていた指先は、爪が剥がれた跡にしか見えなかった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る