私の地元には、雀の怪異が言い伝えられている。


 夜に山道を歩いていると、姿は見えないが、


 「チチチ」


 と雀の鳴き声だけが聞こえ、どこまでも付いてくるのだという。


 これだけであれば全然怖くないし、むしろかわいいなと思っていたが、言い伝えを教えてくれた祖父曰く、この雀に憑かれると、その後、狼の怪異に襲撃されるのだという。



 「ぎゃあ」


 この話を思い出した頃、どこかから得体の知れない鳴き声が聞こえ、学校帰りに近道をしようと山道を通った自分を呪った。




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