59 義妹とフィナ、深夜の激闘!(後編)
「どうやら、私達は
「そのようですね。お互い和馬の安否を気にしての思い遣りからの行動だったようですね」
(二人共、自分達の欲望に満ちた行為を俺への慈愛という大義名分に、置き換えているだけだろ!!)
和真は心の中でツッコんだが、もちろん口には出さない。出せば扉の向こうのヤンデレ達の矛先がこちらに向かうのは明白だからだ。
「それにしても、フィナさんは本当に優しい人です。こんな夜中に
「こんな深夜まで和馬を見守っているのだから、真菜ちゃんも本当に良い子ね」
二人はお互いに見詰め合いながら、微笑んだ。
「でも、もう大丈夫だと確認できたのだから、部屋に戻って休むといいわ」
「そうですね。お互いの誤解も解けた所で、部屋に戻って休みましょう」
二人は笑顔を崩さず、それぞれの自室へ帰って行った。
(よかった。二人共、帰ってくれたか)
和真はベッドの中で胸を撫で下ろすと、二度眠りにつく。
こうして、この日の真夜中に起きた事件(?)は幕を閉じる。
そんな訳が無く和馬の部屋の前 深夜2時半―
「ちょっとフィナさん、ホントいい加減にしてくださいよ!? なんでまた戻ってきているんですか!?」
「真菜ちゃんこそ、しつこいですよ! しかも今度はご丁寧に一時間も待ってから来るなんて、どれだけ和馬の部屋に入りたいんですか!?」
二人は部屋の前で鉢合うと三度目の口論を始める。
「それはこっちのセリフです! フィナさんこそ性懲りもなく
「私は和真が真菜ちゃんに、変なことをされていないか心配で…… 」
しかし、今回は互いに引く気は無いようで、お互い追求を始める。
「フィナさんは先程ほどからそう言っていますけど、それならまずは同性の私の部屋を確認すべきでは無いですか? それをいきなり異性の
真菜は目を細め、ジッとフィナを見つめて問い質す。
「そっ、それは……」
フィナは言葉に詰まる。
「やっぱり図星でしたね! そうやって、私を出し抜いて
「あうぅ…」
真菜の問い詰めに、フィナの顔はみるみると赤くなり慌てる。
「ち、違うわ! 神に仕える私がそのようなはっ… 破廉恥な真似をするわけがありません!」
「じゃあ、なぜ
「それは、その…… 」
真菜の追及にフィナは完全に言葉を無くしてしまうが、一転して真菜を睨みつけると反撃に出る。
「そういう、真菜ちゃんこそさっきから和馬の部屋の前にいるじゃないですか! しかも、今度はわざわざ私が去った一時間後にこっそり戻るなんて…… 一体何を企んでいるのですか!?」
フィナの言葉に真菜は動揺する。
「わっ 私は
「それなら、真菜ちゃんが先程自分で言った私の寝ている客間から調べるべきではないですか!? 和馬の部屋から調べるなんて、真菜ちゃんこそ和真を襲おうとしているのではないですか!?」
「はぅぅ!?」
フィナの言葉に真菜は狼狽する。
そんな彼女を見てフィナは勝ち誇った表情を浮かべる。
(今の所互角だな…。まあ、お互いブーメランが刺さりまくっているけどな!)
和真は心の中で的確なツッコミを入れる。もちろん口には出さない、理由は先程と同じだ。
「そもそも神に仕えるフィナさんが、夜這いなんてはしたない真似をして恥ずかしくないんですか!? 神様に顔向けできませんよ!?」
「真菜ちゃんの目的もそうじゃない!」
(
「はうぅ!?」
和真とフィナはツッコミに、真菜の投げたブーメランは額に刺さる。
「そもそも真菜ちゃんは、義妹なのに義兄の部屋に忍び込んで夜這いしようという考えがおかしいんです! もっと世間体を考えて行動しなさい!!」
(世間体というなら神に仕えるフィナさんが、深夜に男の部屋に来るというのもヤバいですよ!? アナタにもブーメラン刺さっていますよ?)
和真はフィナにも心の中(以下略
真菜も先程のお返しとばかりに、フィナのブーメラン発言にツッコミを入れると思われたがそこは義妹… 斜め上の反論をおこなう。
「大丈夫です~! 私と
(法律はエッチなことは勧めてねえよ!! 東方国を憲法が卑猥なことを勧めるHENTAIな国みたいな言い方するな!!)
和真は真菜の言い草に思わずツッコむ。当然、口に出しては言わないが。
「「ぐぬぬ……」」
二人は互いの主張を曲げず、睨み合ったままだ。
「こうなったら、和真にどちらが正しいか尋ねましょう!」
(深夜に男の部屋に来ている時点で、どちらも正しくは無いんですよ!!)
フィナの提案に和真はすぐさまツッコむ。
「そうですね!
(両方と過ごす気はないんだよ! というか、
和真の心の叫びは当然二人に届くはずもなく、ガチャガチャとドアノブドアノブを回す音が聞こえた。
「あれ? 扉が開きません…。鍵が掛かっているのでしょうか?」
「最近鍵を取り付けたようなんです! おかげで夜に
「真菜ちゃん……、思わず悪事が口から漏れていますよ…。アナタは普段から和真に何をしているんですか? 今すぐに神に懺悔なさい! きっと神様はアナタを許してくれます…」
フィナは神に仕える者として、煩悩と欲にまみれた真菜に神への懺悔を促す。
「まあ、私は許しませんけどね……」
そして、最後にボソッと本音を呟く。
「
「そうです、和真! これほど外で騒いでいるのに、目が覚めないなんてことありませんよね?! 出てきて、どちらが正しいか決めてください!!」
二人の声が和真の部屋の前から響く。
(出て行くわけが無いだろうが! 誰が目に見えている地雷原に突っ込む馬鹿がいるんだよ!? 酷い目にあうのが目に見えているんだよ!!)
和真は高性能耳栓を装着すると布団の中に潜り込む。
その後、二人は和真が部屋から出てくるのを暫く待っていたが、諦めて自室に諦めて帰って行った。
【外れ】の特殊能力を得たことより、ヤンデレ義妹のほうが問題なのだが!? 土岡太郎 @teroro
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。【外れ】の特殊能力を得たことより、ヤンデレ義妹のほうが問題なのだが!?の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます